8/2 バカンスに行ったドイツの友人Mが、弟が入れ替わりでやってきて部屋を使うとのことで鍵を預かっていたのだが、昼過ぎ頃連絡あり、弟Kがやってきた。昨日パリに着いていたのに兄貴と連絡がつかず、やむなくホステルに泊まったらしい。その名もPeace & Love Hostel。PeaceもLoveも無かったとのこと。兄貴、ちゃんと世話してやれよ。っていうかなんで俺がホストみたいになってるんだよ。まあいいけど。妻にも紹介がてら近所を散策する。自分の部屋のトイレを見て「フレンチ・トイレットじゃない!」って喜んでいたので、便座がないやつのことかと思っていたが、昨日入ったカフェのトイレが地面に穴が開いてるだけのやつだったらしく、それのことらしい。確かにあれは嫌だ。
7/21 Studio Visit があるため諸々準備。夕方より寮のコミュニケーション担当のCが来訪。実は最近歯を折った仲間なのだが、今やっていること、考えること、これからどうしようかと思ってるかなどを話し、何人かのレジデントを紹介してもらう。何か質問ないかっていうから歯はどうなった?って言ったらもう一本悪くしたとのこと。 Studio Visit が終わって晴れてタスクから解放。夜はいつもの友人らでセーヌ川飲み。スペインのジョークを聞いたら超下ネタだった。ちなみに先日聞いたフランスのも超下ネタ。
7/26 朝から日本の納品対応、昼からエレクトロニクス講座でのフランス報告 via Skype、夕方からシネマテーク・フランセーズにてウェルズ『黒い罠』、ヒッチコック『汚名』。あんな可愛いイングリッド・バーグマンを元ナチの家に潜入させて結婚までさせるなんてケイリー・グラント許せん!とか思ってしまったが素晴らしい二本でありました。ヒッチコックがフィルムで見られるなんて幸せ。でもバーグマンに毒まで飲ませるなんて残酷なことするなあ。『黒い罠』はディートリッヒが出てくると途端に画面がファスビンダーっぽくなる。ヘンリー・マンシーニの音楽が素晴らしい。
7/16 風邪が治らないため Studio Visit を延期にしてもらう。借りてたプルーヴェの本を返すためにフラ語に顔を出したら「寝てていいのに」と言われる。「se coucher」を覚える。 寝てるわけにもいかず、友人に勧められた喉スプレーを買って、暑さと微熱に朦朧としながら終日作業。
7/17 朝起きたら割とよくなっていて、だからというわけではないがもともとの予定でナンシー行きのTGVに乗り込む。セール特割の一級席を買ったのに、売れ行きが悪かったからか車両が小さいのに交換されたようで、自分の番号の席がない。スタッフに聞くと「どこでもいいから座れ」と言われる。なんで一級車を予約したのにそわそわしながら乗らなきゃならんのか。 ナンシーに着いて、次から次にやってくる駅の物乞いの多さにおののくが、街に出てみればそこはまるでブリュッセルのようにアールヌーヴォーの街並みが続く。なんだろう、パリ以外の街に来た時のこの安心感……。本当にパリって異常なんだな。そんなことを思いながらナンシー美術館(Musée des Beaux-Arts de Nancy)の方面に歩くと突然ロココ調の貴族趣味の広場が現れる。ナンシー美術館にはジャン・プルーヴェのコレクションを見に行ったのだが、特別展でオルセー所蔵の自画像展がやっていたせいか、展示場は狭め。目新しいものはペリアンとの協働である Les Arcs の円形ホテルの模型。しかしジャン・プルーヴェのお父さんであるヴィクトル・プルーヴェの絵に思いがけず出会い、父親がナンシー派の芸術家だと知らなかった私には目から鱗が出る思いであった。 その後、ホテルに荷物を置くのに失敗したり(アパートホテルのため昼間はレセプション不在)、韓国の友人に電話したりしながら駅の東から西に移動してナンシー派美術館(Musée de l’École de Nancy)へ。途中ルイ・マジョレル邸を通ったが今日は訪問できなかった。ナンシー派美術館はとても小さい美術館だが、ガレ、マジョレル、ヴィクトル・プルーヴェらの作品があくまで空間全体を作り上げる総合芸術の一環として、作り上げられた部屋として展示されている。そのため美術館はいくつかの幾つかの部屋=生活空間に分割され、部屋から部屋に移動すると別の人の家に入り込んだかのようだ。私は父プルーヴェの絵に見惚れるばかりで、受付で図録の有無を聞くも、無いとのこと。ナンシー美術館にもジャン・プルーヴェの良本が無いし、絵葉書すら無いし、君たち商売根性無いのかね。 ホテルに戻ってチェックインしたが、部屋が灼熱のためシャワーを浴び、外へ。貸自転車で Porte de la Craffe(14世紀の城門) 近くまで行って、ビール飲んで帰って寝る。風邪引いてるのも忘れる暑さですっかりよくわからなくなって、ホテルにて12時間爆睡。
7/18 本当はメッスまで行きたいところだったが風邪っぴきだし遅起きのため諦める。Yelp で調べたレストランに行ってみたら観光客向けじゃないところのようで安くておいしかったのだが、何にでも時間がかかるフランスらしく早く出ることができなかったため、タクシーでプルーヴェ邸に行くことに。しかしタクシーも15分近く来ず(店員に「なんで?」と言ったら「怠け者なんだろ fainéant」と言われたが)、5分遅刻でプルーヴェ邸に到着。しかし「満員だから次の回の16時まで待て(現在14時40分)」と断られる。しかしそこは中心部から外れた高台にある住宅地で、見渡しても Google Maps で見ても周りに何もない。ぶらっとその辺りを一周するも何も発見できないので住宅へのアプローチで腰掛けて待つことに。同じく断られて帰ってきた人たちと話したら「次は16時半だって言われた」という人と「15時半だって言われた」という人がおり、私は16時だと言われたしパンフレットにもそう書いてあると言うと、彼らは「じゃあもう一回聞いてくる」と言って聞きに行った。すると「公式情報が間違っている。16時半だ。」と言われたらしく、「ああ、フランスではありえるわね。じゃあ我々は一回帰るわ」といってみんなわらわらと帰って行ってしまった。私は帰る手段もないので待つよ、と言って腰掛けて待っていると、16時前頃に別の人々がわらわらとやってきて、どうせ断られて引き返してくるんだろうと思って待っていたが一向に帰ってくる気配がない。不安になって行ってみると16時にツアーが始まった。もはやフランス人なんて誰も信じられない。しかしグループが2つに分けられ、後発組になった私はエントランスで30分説明を聞く羽目に。そうこうしているうちに帰って行ってしまった人たちも戻ってきて結果オーライ。全くこの「情報が間違ってる」「自分の言うことに責任を持たない」「言ったやつが悪いから組織の責任ではない」(ついでに「機械が動かない」)「時間通りに何もできない」の悪循環はなんとかしようと思わんのかね。 プルーヴェ邸は住人がいる為土曜日の2回しか訪問できず、内部は撮影不可。ペリアン作の本棚、コルビュジエ調のタイルがあしらわれた暖炉、1mごとにユニット化された建材、ナンシー美術館にあったのと同じ穿孔パネル壁。初めて訪れることのできたプルーヴェ建築にコルビュジエ、ペリアン、ジャンヌレとの比較を考えさせられながら帰路に着いた。