黄金週間

元ゼミ生たちと寄席に行こうという話になり、新宿末廣亭の昼席へ。ここに来たのも20年ぶりか。夜も更けてシンと静まり返った中で聞く怪談噺も良いものだが、昼の陽気の中で洒落の利いた小噺がテンポ良く続いていくのも良い。個人的には「コント山口君と竹田君」が見られたことが感慨深いが、神田蘭さんの『流動食版源氏物語』、音曲の桂小すみさんの都々逸調の「I will always love you」、南玉師匠の曲独楽など、講談・色物も充実していた。真打の方々のスッと引いた話し方に学ぶものは大きい。
目を見張ったのは、腐ってカビが生えた豆腐を瓶の中に入れてぐじぐじと混ぜ、そこに唐辛子を加えたものを「台湾名物のちりとてちん」だと騙り、近所の知ったかぶりの旦那に食わせて何と言うか見よう、という噺。目の前には豆腐どころか瓶すらないのに、言葉とジェスチャーから生まれる想像だけで聴衆の嫌悪感を引き起こしてしまうという話芸の凄み。
打ち上げではAIやら万博やらの話になったが、今日日そこら辺のお偉方より若者の方がまともなことを言いますよ、まったく。