新年の誓いを立てようと思ってから早3ヶ月。このままなし崩しに今年も終わっていくのであろうが、タスクが満載である。正月に気づいた前厄という事実が、節目節目で気に掛かる。思う壺である(誰の?)。
フランスの友人より便り来る。私もあちらのニュースを追うのをやめてしまったので、何ができて何ができないのか、ちゃんと給付金が出ているのか、知らぬ間に感染して入院していたりはしないか等々考えると気軽にメールも書けない。送ってもいいかと思えるまでに三ヶ月かかったメールを正月に送信していたが、それに返事が来たことだけで胸を撫で下ろす思い。曰く、ここ一年で全てが変わってしまった。もうお前の知っているパリではないと。外に出るにも毎回書類を書かねばならず、元々お役所的な書類地獄なのに、今の煩雑さはカフカの小説のようだと(「カフカ的=kafkaïen」なる単語があることを初めて知った)。唯一の救いは通りから人間がいなくなって街や建築が美しさを取り戻し、鳥が自由に飛び回っていることだという。一日何万人という単位で新規感染者が出るという状況は想像すらできないが、せめてこのままやりすごしてほしいと思うばかり。
卒業制作展に赴く。今年の卒業生は私が非常勤になって初めての担当学生なので、見知った顔が多い。しばらく人に会っていないこともあって否が応にも話が盛り上がってしまう。満足げにしている者も自信なさげにしていた者もいるが、皆それぞれの持ち味を伸ばしていて、素質の途方もなさを感じさせる。自分が学生だった頃は「デザインとは」ということに対する答えを絞り込んで考えていたが、今こうして教員になってみるとデザインという形は一つではなく、どうあってもいいんだと目を開かされる思いがする。時間の許す限り見て回ったがそれでも多くの学生には不義理を果たしてしまい、今年は学外展という「次の機会」もないので申し訳ない限り。
立川で『シン・エヴァ』。やはり自分にとってのエヴァは「謎」でも精神的描写でもなく「アニメーション」であった。高校の頃はTV版から旧劇場版まで何度もVHSをコマ送りにして見直したけれど、今思いかえしてみても当時最高のクオリティだったと思う。今回『シン・エヴァ』を見ながら確認させられたのは、「新劇」はデジタル技術を使ったアニメーション制作への挑戦だったということ。今作でも3DCGとキャラクターを画面上で融合させるための試みや、デジタルでしかありえないアクション・シーンが展開していて、遠近感が欠落してよくわからない場面があったのが残念だけど、監督がいかに現代というものを肯定的に取り入れようとしているかが伝わってきた。次はもっとわかりやすいやつを撮ってほしいなと思う次第。
それにしても「新2号機」がガンパンツァーZZに見えたのは私だけではあるまい。
フランスにいたため未見だった『シン・ゴジラ』を流れで。これは政治コメディだよね、と思いながら見たが、火炎放射のシーンには溜飲が下がった。
『ニッキー・ラルソン』こと仏版『シティーハンター』は予想外に良く、最初はちょっと苦笑いしたが、途中のクレーンを使ったアクション・シーンなんか近年見ないようなアイディア溢れる演出だったし、随所にユーモアがあふれていて、最後は爆笑。『シティーハンター』らしさもしっかり受け継いでいて、すごく好感の持てる作品だった。