『イグノラムス・イグノラビムス ムジカ』@ムサビ 2日目「音楽と技術」鈴木學 が終了した。冷たい雨が降りしきる中、動員が心配されたものの開演時間5分前から続々と人が入ってきて、蓋を開けてみれば21人!狭い会場はいっぱいでした。しかし鈴木さんのパフォーマンスが受け入れられるか非常に心配だった私は始終ハラハラしっぱなしで、お客さんの顔色を伺ってばかりいたが、レクチャーが始まった頃からだんだんみなさんチャンネルが合ってきたようで、鈴木さんの面白さがわかってきた様子。一時は「しゃべり場」ばりに白熱する議論にヒヤヒヤしたものの、最終的には「とりあえず鈴木さんは面白い人」でまとまった模様(笑)。でも技術者ならではの音楽/アートに対する金言が忘れた頃に飛び出して、私が鈴木さんを呼ぶ上で学生さんに一番伝えたかった「技術は目的じゃなくて手段だ」ということが伝わったようで一安心。また新しい鈴木さんが見られたなあ。
さて、再来週のサザエさんじゃなくてイグイグは、鈴木さんと木下さんによるパフォーマンス「イグノラムス・イグノラビムス: 音楽とは何か」です。一応三段構えになってるこの連続講座ですが、前2回とはほとんど全く関係ありません!いや、どこかではつながっているのだけど、セグメンツと電子工作の技術を踏まえた集大成的なものではまったくないので、お気軽に見に来ていただければと思います。馬鹿馬鹿しくて笑っちゃうことが多いけど、ちょっぴり「音楽」に触れている。私はこの企画、大好きです!
12.9 TUE
『イグノラムス・イグノラビムス: 音楽とは何か』
鈴木學+木下和重
ライヴ・パフォーマンス
【時間】18:00-20:00
【場所】武蔵野美術大学 9号館 3-306C (タスクルーム Red)
【WEB】http://ig-ig.org
「イグノラムス・イグノラビムス」という言葉には、20年ほど前に読んだ「混沌からの秩序」(I.プリコジン、I.スタンジュール、みすず書房)の中で出会った。プリコジンの名を見つけて読んだ本であるが、彼は今や美術界でもポピュラーな言葉である『複雑系』の科学の発端となった業績を上げた人物である。
それによると、「イグノラムス・イグノラビムス」は19世紀末生理学者のデュ・ボア・レイモンが発言した言葉である。直訳すれば、「われわれは知らぬ、われわれは知らぬであろう」となる。発言者の意図をくみ取り言葉を補足すると、「科学の世界と、この科学を知り、感じ、創造する精神との関係について、われわれはいつもまったく無知のままであろう」となる。
この文の「科学」を「音楽」に置き換えると、今の私と音楽との関係が見事に表現されている。
ふふふ……。
(鈴木學)