いつしか来るのが夢になっていたスコットランドに遂に来てしまった。しかし目的は旅ではないのでハイランドの終着駅まで鉄道旅をしたり島に渡ってみたい思いをなんとか振り払わなければいけない。それでもエジンバラ空港からグラスゴーに移動するバスの車窓だけで、私にとっては夢のような光景であった。何といっても空が美しい。毎度毎度英国領に来るたびに入管で根掘り葉掘り質問責めにされるのは勘弁いただきたいが。「グラフィックデザイナーが」「自腹で」「地図を研究」して、「海外まで資料調査に来て」何がおかしいんだ。
それにしてもどこのアーカイブもアーキビストの仕事に頭が下がる。とりあえず畳2畳ほどの紙が広げられる机から、ずらりと並んだマップケース、地図等のシート状資料を入れるプラスティックのスリーブ、資料保護の包装紙に到るまでハード面が整っている。さらに資料の数の膨大さにもかかわらずよく分類された目録、それにキーワード別の索引の編集までできていて、製本されて利用可能になっている。研究者がアーカイブ作成に関わっていることもあるだろうが、これだけで芸術ものだ。まったく何ともはやである。
何か禅問答的な問いかけをされているように感じるのは私だけだろうか。