7/8-7/20

差し込みの仕事が来たりしてなぜかパリに着いてから忙しい。天気は最高なのに家に篭って仕事。まだ美術館には一度も行けていない。「Le Douanier(税官吏)」ルソーの回顧展は見逃してしまったらしい。とは言いつつこれを見ずに死ねるかという映画はポツポツと見に行っている。こちらに来る直前にチミノとキアロスタミが2日違いで死んだが、既に軽いレトロスペクティブが行われているのは素晴らしい。たまたま先月にはヴィルモス・ジグモンドの特集がシネマテークであったそう。ジョン・ヒューストンの大特集も組まれていて、体がいくつあっても足りない。

ジャン・ルノワール『Boudu sauvé des eaux(素晴らしき放浪者)』
時差呆けも治らぬうちに出かけたため、半分寝落ち。無声映画のコメディのようで、異常に詩的なところもあり、ルノワールの途方もなさを思わせる。

ジョン・ヒューストン『Au-dessous de volcan(火山のもとで)』
破滅的な行動を繰り返すアル中男。それが原因で家出したが再びやり直そうと戻って来た妻。彼女と関係があったらしい義弟。周りは彼の行動を心配しながらも、それが彼の中にある純真無垢から来るがゆえに誰もが心傷めずにはいられない。Malcolm Lowry が原作。時間があったら読みたいがその日は来るのか。

サミュエル・フラー『Dressé pour tuer(ホワイト・ドッグ)』
若い女性がある日轢いてしまった白い犬が、黒人を殺すよう躾けられた「ホワイト・ドッグ」だということがわかる。ぜひ自分が再訓練したいと申し出る黒人の動物調教師。全身防具をつけて犬と戦いながら黒い肌に馴れるよう躾けに奮闘する。人種差別が一番のテーマに見え、それがいかにも「フラー風」だが、それよりも動物を人間が完全に飼いならすことの不可能性が根底にあるのではないかと思う。私が個人的に、犬と動物とは最終的には相容れないと思っているからかもしれないが。とにかく犬の撮影が見事。ある日その女性を訪ねてくるホワイト・ドッグの飼い主の老人と孫娘たちに女性が吐き捨てる言葉が最高だった。

アッバス・キアロスタミ『Shirin(シーリーン)』『Le vent nous emportera(風が吹くまま)』
本物の詐欺師、ここにあり。

GO

パリでポケモンGOをやるとうんちを踏みます。

なのでやりません。

機内

機内で見た『さらば あぶない刑事』。60超えてもあの動きができる柴田恭兵に感動を禁じえない。またやってくんねえかなあ。『あぶない刑事』『水曜どうでしょう』『タモリ倶楽部』をエンドレスに流してくれるチャンネルがあったら加入する。

他に何もなかったので『バットマン vs スーパーマン』を見たが、視覚的な派手さと衒学的なテーマを持ち出してくる割に中身は何もなく、ケビン・コスナーの生存確認以外に楽しむところなし。ノーラン印の作品を見てあげた自分を褒めてあげたい。