8/21 チューリヒ国立博物館

何やかんや11時ぐらいまで作業してしまい、ホテルを出たのは昼時。トラムで中央駅まで行き、チューリヒ国立博物館(Landesmuseum Zürich)へ。スイスでは有名だという『ウルスリのすず』という絵本を書いた画家・絵本作家アロイス・カリジェ(Alois Carigiet)の特別展。映画版『ウルスリ』の撮影風景を記録した白黒写真を見て、思うことあり。常設展はタペストリーを中心とした中世美術、服飾の歴史、スイスの銀行、インテリアデザイン、人文主義と宗教改革(エラスムス、ゲスナー、ヴェサリウス、セバスティアン・ミュンスター、クリストフ・フロシャウアー……)、それにハンス・エルニ(Hans Erni)のスイス国家博覧会のための巨大な壁画、等々。ここまで来ないとわからない地元ならではのものが沢山あってとても良かったが、中でも人となりは不明のKarl Mitzkatという人の巨大な旅の写真帖が素晴らしかった。全ページがデジタルアーカイブ化されていて、写真、切符、地図等をレイアウトした上に地名が大きくレタリングされているもの。
しかし今度新しく建てられる拡張部分の建築が酷くて、今さらリベスキンドにでもなりたいのですかと問いたくなるジグザグした外見で、現状の19世紀の旧館の展示什器も既に一部そうなってしまっており、ここにも現代建築の悪しきスペクタクル主義がふりかかっているのだと思うと辛くなる。展示の方法を色々工夫していて新しいメディアもうまく取り入れているのはとても好感が持てるのだけど。こういう機械は某F国には無いよなあ、あっても壊れるしなあ、と呟く。

見終わると既に夕方なので、広場や教会、湖などを散策し、ギャラリーにてMと合流して湖畔の元スクワット倉庫街に出かける。そこで食事したり(とにかく高いので一番安いパスタ)昔Mがアトリエにしていた場所を教えてもらったりして、その後映画の野外上映を見に近くの駅までバスで移動。『学校への道』とかいうタイトルの、インド辺りのドキュメンタリー風短編で、映画自体はちょっとあれだったので早く終わってくれてよかったのだけど、駅前の広場にこれだけ多くの人が集まって夜映画を見るのは素晴らしいなあ、と思う。それにしても物価の高さが異常なのでどうやって暮らしているのか不思議だったので、Mに「もしマックで働いたら時給いくらぐらいなの?」と聞いたら「働いたことないからわからないけど、20〜25 CHF(2,600円〜3,200円)ぐらいじゃない?」と言われ、「でも他の国の人達は私たちがお金持ちだと思ってるけど、うちの家賃は30万円ぐらいで、医療費なんかも高いから副業しないと路上生活することになる。家賃は若い子とルームシェアしてなんとかなってるけど。」とのこと。どおりで物価が高いわけだ。つまりこの国で働いていない我々は、バイトしている学生より貧乏だということだ。