8月某日 パリへの帰還

朝5時過ぎのトラムでフィレンツェ空港に向かう。トラムの駅ではおじさんがティッシュも使わず鼻をかみ、地べたに鼻水を叩きつけていた。そこに泥酔した男がラップを歌いながらやってきて、脳が死滅するような光景が展開する。
格安の航空会社vuelingのカウンターに行くと、おねえさんがワンオペで回していて、朝5時半にもかかわらず長い列ができている。そこにプライオリティーを持った人がやってくるので、全く順番が回ってこない。40分ぐらいしてようやく別の職員が来て、荷物を預けることができた。搭乗口に向かう途中では朝6時なのに全ての店が空いていて、グッチだかフェラガモだか知らないが、女性がブランド物の試着をし、店員がそれを眺めてお世辞を言っていた。繰り返すが、朝6時である。
パリに着いてその足で友人宅に荷物を預け、一緒にマルシェに向かう。3年ぶりに見るマルシェの人々はあまり変わっていなかった。セイダカアワダチソウのような黄色い花がまるでミモザのように咲き誇っていて、印象的だった。心から植物を好きな人が育てた野菜を見ると、生き返るような心地がする。
その後友人の言葉に甘えてニョッキを食べ、昼過ぎから買い出しに出かける。まずは本屋で友人が関わったエリゼ・ルクリュとニコラ・ブーヴィエの本を買い、その後は食料品店をはしごしてお土産を買い込む。
夜はチュチュカ、きゅうりのベジヨーグルト和え、じゃがいものガレットなどをいただく。イタリアではさぞやうまいものを食ったのであろうと言われたのだが、ほとんど食いっぱぐれる旅であったので、血の通ったご飯が非常にありがたかった。

C’est Paris.