8月某日 3年前の後始末

まだテキパキと動く感覚がないが、考えてみればもう木曜日で、休館日のことを考えると今のうちに一度図書館に行っておかなければならない。旧市壁沿いを走るトラムで図書館に向かうが、途中で「終点だ」といって降ろされる。どうやら工事中でポルト・ディタリーからアヴニュー・ドゥ・フランスまでは振替輸送のバスに乗らなければいけないらしい。あたりをうろついているRATPの職員にバスの場所を聞いて乗り込んだはいいが、車内で調べ物をしていたらうっかり乗り過ごして工業地帯まで来てしまった。逆向きのバスに乗ってようやくアヴニュー・ドゥ・フランスに到着し、イギリス系のチェーン店「プレ・タ・マンジェ」でコーヒーとサンドイッチを買うが、飲めないほど渋く、残してしまう。しかしWi-Fiが使えるだけありがたい。
図書館の手前には、旧館に「ミュゼ(博物館)」ができたという広告がかかっていた。どうやら長年のリノベーションが終わったらしく、後日行ってみようと思う。新館で臨時営業をしていた地図部門も、ようやく古巣に戻ったらしい。閉架フロアでフンボルト関係のファクシミリ本の書誌を確認し、諸々雑多な作業を済ませ、図書館を出る。ついこの間まで印刷についての展覧会がやっていたそうで、逃したのが悔やまれる。どうせ来れなかったが。
その足で古巣のシテ・デザールを訪問する。コロナ騒動でフランスを脱出した時に預けておいた荷物を処分するためだ。パリ賞で来ている大学のレジデントの方に連絡を取って、倉庫の段ボール箱を出してもらう。何か大事なものが入っているだろうと思って箱を開けたが、結果的に必要なものはタオルと箸と包丁ぐらいで、あとはサバイバルに必要だった安物の鍋やら水筒やらだった。ここの住人はなんでも欲しがるので、「Take Free」と書いて外に置いてもらった。きっとすぐに捌けるだろう。
その後、フランス人の友人2人と喫茶店で久々の再会。とりあえずあまり深いことは聞かず、お互いの近況報告に終始する。最愛の犬ウメは少し色が白くなっていた。
部屋に戻ってインスタントのクスクスを作って食べる。テレビではナチュリスト(ヌーディスト)がバカンスでキャンプをするのを追ったドキュメンタリー番組がやっていた。体じゃなくて顔にぼかしがかかっているのが新鮮である。虫に刺されないのかね、と思いながら眠りについた。