9/11 ファーブルの家、古代ローマ遺跡

オランジュへ来た目的は2つで、ローマ遺跡とファーブルの家である。それを一日で回らなければいけない我々は、朝イチのバスでファーブルの家へ向かう。言わずもがな虫好き某氏の強いリクエストである。

ファーブルの家はオランジュからバスで3、40分程のセリニャン(Sérignan)という小さな街にある。現在はミュゼになっているが、彼がそう呼んでいたのに倣って「Harmas(プロヴァンス語で休閑地、荒地の意味) de Fabre」と名付けられている。家の中には無数の虫の標本や特製の観察器具に加え、化石、植物標本、キノコの自筆図譜などが展示されており、彼が有名な『昆虫記』の著者であるだけでなく総合的な自然科学者だったことがわかる。彼は貧しい家庭でで育ったが、教職を得ながら科学の教科書を無数に執筆して生計を立て、晩年はここに家族とともに住んでいたという。庭は想像した以上に広く、そこは植物園と菜園になっていて、中央にある噴水が生命の溢れ出る様を象徴しているようだ。考えてもみなかったが今年はファーブル没後200年らしく、各種のイベントが開かれているらしい。何やらこういうものに当たるのが多い。

午後、オランジュへ戻り、古代ローマの凱旋門、劇場、丘を巡る。疲労が溜まっているのか、劇場の観客席で数十分爆睡。陽射しを浴びると眠気が襲ってくる。そういうもの?しかしこれだけ大きな規模でローマ遺跡が残っているのはイタリア以外ではなかなかないのではないだろうか。劇場は現在も使われているらしく、天井だけ新しく付け足されていた。

夜は再びタイ料理。開店前から並び、少し遅れてきた店員のおじさんに「また来てくれたね」みたいな感じで同じ席に通され、今日もパッタイなど満喫。パリにあったら週一で行くよ、おじさん。メニューに「saké (40°)」って書いてあったから「これ、中国のサケでしょ?強いんだよね?」って聞いたら「そうそう」と言われたので「じゃあやめとく」って言ったのだが、最後帰り際ににこにこしたおじさんが厨房からやってきて、サービスで出してくれた。そしてお猪口は酒を注ぐと器の底に女性のヘアヌードが見えるというバカバカしい仕掛けつき。妻のは男性のヘアヌードであったが、それ見ながら飲みたい人いるのか、おい。でもおじさんありがとう。ここのためにまたオランジュに寄りたい。