9/3 リヨン→マルセイユ

リヨンからマルセイユへの移動日。移動は昼からだったが、観光はできず。それは SNCF(国鉄)の OUIGO(ウイゴ)という格安 TGV に乗るため、サン=テグジュペリ空港まで移動する必要があったからである。OUIGO は TGV の荷物置き場を減らし、食堂車もなし、2階建て車両に座席を寿司詰めにし、チケットは自宅プリントのみで、なおかつ郊外の駅から発着させて超格安の値段で提供するサービスらしい。パリならディズニーランドのあるマルヌ=ラ=ヴァレ、リヨンなら空港のあるサン=テグジュペリである。その分値段は超破格で、リヨンからマルセイユまでたったの10ユーロである。ただパルデュー駅からサン=テグジュペリ空港まで急行トラムに乗る必要があってこれは16ユーロぐらいするので、合計すると26ユーロぐらいになるのだが、それでも十分安い。ただ、大きな荷物は5ユーロの追加料金がかかる。車掌は回ってこず、駅でチケットと荷物のチェックがある。サン=テグジュペリ空港に直結されたTGV駅はサンチャゴ・カラトラバの設計だそう。彼の建築は初めて見た。

乗ってみると車両は荷物スペースが少なからずあり、空気はもんわりしているものの不快なほど狭くはなかった。10ユーロなら全然許せるレベルである。山の岩質が変わっていくのを眺めながら南仏に向かっているのを実感していると、小一時間で到着。思っていたより暑くはなく、肌色・褐色の街並みが空気の乾燥を一層強調している気がする。「マルセイユは危ないよ」と言われていたので少し警戒しながらメトロに乗り、ペリエ駅のホテルにチェックイン。安い割に極めて快適なアパートホテルである。

ホテルに荷物を置き、とりあえず土地勘をつけようと旧港に向かって歩くことにする。途中、ノートルダム・ドゥ・ラ・ガルドという看板を見つけて向かってみるが、どんどんどんどん上に向かって歩かされている。足がついつい高い方に向かうのか、それとも高所が私を呼んでいるのか。15分ぐらいすると丘の上に到着し、マルセイユの街が360度一望できる場所であった。南仏は私にとって伝説的な場所で、いつか行ってみたいとずっと思い続けていた割に、その実態については全く知らず、単なる憧れでしかなかったのだが、マルセイユというのはこういう地形の街であったか。見渡す限り遠くまで街が続いているが、フランス第二の都市という割にはそれほど大きく見えない。パリ、マルセイユ、リヨンを頭の中で足してみても、それほど大きくは感じない。その割に総人口は6千万以上あるのだから、不思議である。教会はこれまた見たことのない様式。横縞模様と天井から船が吊ってあるのが印象的である。壁には航海に関する絵がびっしり貼られている。『白鯨』の説教のシーンを思い出す。

丘を降って旧港まで歩き、ひとつだけ砂浜を見て帰る。マルセイユといえばブイヤベースだと思っていたが、少なくとも25ユーロするらしく、やめる。しかし結局いい飯を食べてしまった。生魚、久しぶり。

今日はカメラを忘れたためTGV駅の写真だけ。