10/2 中世美術館とラ・ロシュ邸

おそらく8時頃に起きたのだと思うが、シャツが二巡して少々香ばしくなってきたので、海外で初のコインランドリーをやってみることにする。まずはコインランドリー(laverne automatique)を探すところから始めなければいけないが、小雨降る中、ハーグのスーパー「Albert Heijn」で買った買い物袋に洗濯物を山ほど詰めてAvenue de Clichyを上る。10分ほど歩くと発見した。すいていたので6.6kg用の洗濯機に荷物を入れる。フランスのコインランドリーは中央一括制御型で、洗濯機に洗濯物を入れ、洗剤を投入した後、全部の洗濯機・乾燥機をまとめて統括する機械のところにいき、お金を入れて洗濯機の番号を押すと洗濯が始まる。洗剤も同様に、中央制御装置でお金を入れてから洗剤販売機の番号を押すと、コロンと固形タイプのものがでてきた。しかし「下洗い」と「本洗い」で別々の投入口がある。洗剤は2個でてきたので、よくわからないから一個ずつ入れてみる。お金を入れて洗濯を開始する。ちなみにパリでは洗濯物を屋外に干すのが禁止らしい。
洗濯の間にとりあえず朝飯を食べることにし、近くを散歩し、パン屋を見つけ、パン・オ・ショコラとクロワッサンを買って食べる。パリのパン屋のレベル非常に高し。その後、ムンダネウムでコピーをしまくったせいでもう荷物がパンパンだったので、日本に送ろうと思い、途中で見かけた郵便局に行ってみる。郵便局に入ると、20人ぐらいが並んでいた。まあいいだろうと思って僕も列に加わるが、4つ窓口があるのに2つしか開いていない。郵便局に収まりきらないぐらい人が並んでいるのに、どうして2つは開いていないのだろうか。しかも談笑をしている。稀代な熱心な読者の方はお気づきだろうが、これは3日後の悲劇を既に予見している。フランスはうまくいっているのかいっていないのかよくわからないなあと思いながら30分ほど待つと、僕の番が来る。片言のフランス語で「コリッシモ(小包)、日本まで、XLサイズ(7kg)、ください」と言うとおばさんが赤いコリッシモの箱を持ってきてくれた。送料込みで38ユーロ。ベルギーに比べればかなり良心的。並んだ以外は思ったより苦労無く買うことができ、僕はコインランドリーに戻って洗濯物を20分乾燥機でかけ、右手に洗濯物、左手に段ボールをかかえてホテルまで帰った。
今日は寺さんおすすめの中世美術館(クリュニー)に行くことにする。RERとメトロを乗り継いでサンジェルマン・デ・プレ近辺に行き、歩いてクリュニーへ。3世紀のリュテティア共同浴場の後の建物らしく、既に建物がアウラがある。ウィリアム・モリスがパリで一番愛した美術館らしい。そう思うと感慨深いが、まず入口で切符を買い、荷物検査をした後、中に入る。部屋に入ると、ぐっと息が詰まる。暗闇の中に12世紀やら13世紀やらのキリスト、聖職者の像や首の無い石の彫刻、紋章、布切れ、タペストリーなどがピンスポットで浮かび上がっている。確かにここは「アウラがある」。何しろ凄いのが、棚の上に物を載せ、棚の両サイド下から光を真上に照らし、物の大きさと位置によって大きさと角度を調整した鏡によってその光を反射させ、物に当てているのだ。なんという原始的かつ高度な技術。後に行ったポンピドゥーなんか単なる倉庫に感じられる。美しいとはこういうことかと思う。他にもマニュスクリプトを一枚ずつばらし、一枚ずつガラスケースに入れ、その一端を蝶番によって留めることで観客が自分でめくって見られるようにした展示方法など。
クリュニーで胸いっぱいになった後、昼食を食べた(は何を食べたか覚えていないが多分食べたのだろう)後、メトロでMichel-Ange Auteilへ行き、歩いてコルビュジエのラ・ロシュ=ジャンヌレ邸を探しまわる。小雨が降っていたが傘をもっていないので結構濡れた。パリのサインは最後まで案内してくれないことが多々あり、あきらめかけたころに見つけた。開放しているのはラ・ロシュのみ。閉館時間まで見て回った。近くの総菜屋みたいなところがおいしそうだったので、思わずドライトマトのキッシュを買って食べたらうまかった。パリはうまい。日本で女の子が食べるキッシュを「おしゃれぶって」と馬鹿にしていたが、うまい。
日が暮れたので再びサンジェルマン・デ・プレ近辺に戻り、オタール・イオセリアーニ監督の「jardin en automne」を見た。言葉はあんまりわからなくても笑えた。パリの映画館は学生だと6.5ユーロ(1000円)ぐらいで、最終上映の開始時刻も22時頃、名画座もそこらじゅうにあり、犬も歩けば映画館にぶつかる状態。こんなところに住んだら仕事にならない。