Tomber par terre

パリにいた頃から、私の目の前で人が転ぶ現象に苛まれている。道を歩いていて「あ、この人転ぶなあ」と思うと見事に転ぶのである。躓いて転ぶというよりもふらふらーっとして倒れる感じに近く、ひどい時は毎日のようにそういうことがあった。わかる時はこちらも身構えて助けようとするのだけれど、一度リヨンの地下鉄のホームですぐ前を歩いていた巨漢のマダムがこちらに倒れてきた時は、支えようとして右腕の腱が伸びてしまった。
日本に帰ってきてもそれが続いている。早朝に赤ら顔で自転車を押しながら生垣に突っ込むおじさん、大量のビール瓶を運ぶ自転車をこぎながらそのままゆっくり藪に倒れるおじさん、テニス帰りのスポーティーな格好をしているのに自転車をバランスよく漕ぎ出せず倒れ込むおじいさん。ほとんどシャマランの映画みたいなのだが、身近な人も倒れることがあって、流石に心配になってくる。
世の中倒れる人が増えているのか、私の周りだけなのか、それとも念獣とかスタンド攻撃とかそういうやつだろうか。お祓いでも行った方が良さそうだが、神主になんと伝えればいいのか……。