渋谷にてジョン・フォード監督『香も高きケンタッキー』。蓮實氏が煽りに煽ったこの作品をついに見る機会がやってきた。上映一時間半前に着いたが整理番号は既に60番台。その30分後には満員御礼であった。
オープニング・クレジットのキャスト一覧に「われわれ馬たち」という見出しの下にまず馬の名前が並び、続いて人間のキャストたちが「人間と呼ばれる生き物たち」という見出しの下に列挙されているところからも早くも傑作の予感がするのだが、本当に馬の一人称で語られる72分。競走馬の一生における冷酷な現実も見せながら、失敗の人生(馬生)などないのだという、フォード節の詰まった牝馬二代記。馬と馬の再会に涙させられる映画があったとは。ジョン・ファレル・マクドナルドのような人が映画には必要なのだよね。
無伴奏サイレントで馬と人間の一喜一憂を黙って見つめる時間の尊さを噛み締めた一日であった。