ステイサミーな夏休み

ここ数年のステイサムを履修。
ガイ・リッチー監督『キャッシュトラック』。イーストウッドの息子がウィレム・デフォーみたいだったが、イカレヤンキー路線で売り出すんだろうか。バート・ランカスター崩れのおっちゃんが生き残るより、イーサン・ホーク崩れの兄ちゃんとかムキムキの姉ちゃんが奮闘するところが見たかったよあたしゃ。強盗団のボス役の人をどこかで見たことあるなあと思っていたが、『チェンジリング』と『J・エドガー』に出ていたらしい。顔つきだけで「良い」と思えるのは久しぶりな気がする。
続いて、サイモン・ウェスト監督『ワイルドカード』。何の映画を見ているのか全くわからないが、香港系のアクション監督がついているらしく、アクション・シーンは近年稀に見るほどの良ステイサム(クレジット・カード投げは流石にやりすぎだとは思うが)。「ベイビー」役のスタンリー・トゥッチとのやりとりが粋であった。
ジェームズ・ワン監督『ワイルドスピード SKY MISSION』。前作『EURO MISSION』を見たのはいつだったか。もうカーレースとかしないの?という疑問は多分野暮なんだろう。車に乗らないといけない必然性がもはやわからない。ジェイソン・ステイサムがこんなにガッツリこのシリーズに参加するとは思っていなかったけど、きっとザ・ロックと戦ったりヴィン・ディーゼルと戦ったりするところは「夢の対決」なのだろう。くだらないことを言い続けるローマンの存在とか、何となく憎めない映画である。素としか思えない役者の笑顔がこぼれるところが、果たして良いことなのか悪いことなのかわからないが、それもシリーズの魅力なのだろう。マイルドヤンキー感は否めない。それにしても禿げていないとこのシリーズには出られないのか?
続けてF・ゲイリー・グレイ監督『ワイルド・スピード ICE BREAK』。独房に入れられているうちに馬鹿キャラになってしまったジェイソン・ステイサム。しかし、如何にいい加減な作りの映画であろうとも、「赤ん坊をあやすステイサム」という新境地を切り開いただけでこの監督は賞賛されるべきである。この赤ちゃん役の子も良い。前作から引き続き出演のカート・ラッセルに加え、息子イーストウッド、シャーリーズ姉さん、それにヘレン・ミレンまで巻き込んじゃって、もう『エクスペンダブルズ』じゃないか。
付き合いの良い私は、続けて『ワイルド・スピード スーパーコンボ』を見る。ステイサムとロックが罵り合いながらバディを組んで、「ブラック・スーパーマン」ことイドリス・エルバと戦う、という色物。アクションが止まって見えるしロックとステイサムのやりとりもそんなに笑えず、例えるなら手際の悪い『ウルヴァリン侍』なのだが、最後のエルバとの三つ巴の殴り合いをハイスピードカメラで撮ったところは、頭が悪過ぎて流石に吹き出してしまった。新人監督なんだろうと温かい目で見ていたけど、これでもう4作目じゃないか!まあ、ステイサムが出てればいいんですけどね。