9/23 アール・ヌーヴォーツアーと王立美術館

旅行2日目。
待ちの概要を把握しようと予約していた9:40集合のアール・ヌーヴォー巡りのバスツアーに参加するため、De Brouckereまで散歩。途中でコンパクトカメラの電池が切れたので、スーパーを探すが売っておらず、時間が来たので諦めてツアーに参加。一眼レフを家に忘れてくるという失態をいきなり犯していたので、頼りになるのは出発前日に買ったデジカメ君だけである。
生憎、開始直後に小雨が降ってくる。ツアーは楽器博物館を通過してGustav StrauvenのBuilding with apartments and shops(建物名は地図「Brussels 2005 Living Art Nouveau」によるので英語)の前でバスを降り、Henri JacobsのMunicipal Schoolの館内見学。その後、Victor HortaのEetvelde邸の館内見学。EetveldeはHenri La Fontaineと同じベルギー労働者党POBのメンバーだったらしい。鉄骨が可能にした天窓は非常に美しい。中には坂東三津五郎だったかの歌舞伎絵など、日本か中国らしき物が置いてあったりした。アール・ヌーヴォーに日本や中国がもたらした影響は大きいことを物語っているであろうか。向かいの建物もHortaのデザインだが、こちらは外が石でできており、いかにも豪華なEetvelde邸と比べると、同じ設計者とは思えない。Eetvelde邸を見学した後はマンガ博物館へ移動。こちらもHortaのデザイン。ロビーで解散したので中を見て回る。展示自体は「タンタン」がたくさんあった意外は、日本人としては特に面白くなかった。
雨もやんだので、旅行先で適当に歩きまくる、という特技を早速行使する。適当に歩いていたら王立美術館に辿りついたので、入場。Léon Spilliaertという20世紀前半の画家の特別展がやっていた。象徴主義という属性をくっつけていいかはわからないが、その辺りと関係があったことは確か。なかなか見応えがあった。常設展は、オトレ邸を建てたOctave van Rysselbelgheと多分親族のTheo van Rysselbelgheや、James Ensor、Ferdinand Khnopff、René Magritte、Paul Delvauxなど。Khnopffがなにしろ凄い。ブリューゲルもあったが、ウィーンにあったのと、ここから日本に来ているのと比べると、どちらかといえば見劣りするが、下に写真を載せたやつが何やら凄い。
王立美術館の後はグラン・プラスなど観光名所を一通り通って北駅のホテルまで帰る。途中でフランスのガスコーニュ地方の物産展のようなものがやっていて、ワインを小さいグラスに一杯飲んだが、うまかった。ボトル一本5ユーロとかだから、安い。

“Building with apartments and shops” by Gustav Strauven

Municipal School by Henri Jacobs

Municipal School 内側

Van Eetvelde邸 by Victor Horta

Van Eetvelde邸の向かいにあるDeprez-Vandervelde邸

Van Eetvelde邸天窓

Van Eetvelde邸天窓

Van Eetvelde邸

ダリ

デルヴォー

バーン・ジョーンズ!

クノップフ

同じく

ブリューゲル

まだデジカメを使いこなせていないので、ゆがみ、露出、ふざけたフレーミングなどは後々の写真で改善されます….。
もう一回撮りにいきたい…。

9月22日 成田発ブリュッセル着

空の旅というのは豊富な視覚的体験に満ちているのではなかろうか。入出国のX線検査に始まり、あの「雲」と呼ばれる、触感がありそうでなさそうなものを眼下に見ることができる時、人は、地図、写真、映像を抜きにした、本当の鳥瞰的な特権的観察点に立つ。雲の合間に広がるロシア北西部の湿地らしき異様な地表の中に、点々とした家屋らしきものが見える時。グレート・ブリテン島の上空に広がる、絨毯のような雲を目にした時。自らと太陽の間に地球を置いたときに見える「夜」という名の影が地表に広がり、その中に人が作ったいくつもの光の連なりを目にした時。地表と空を隔てているグラデーションの断絶を目にした時——人は自らを乗せて移動する「飛行機」という発明品が、単なる移動を可能にしているだけではなく、未知なるものの体験を可能にしていることを理解する。そして一瞬、自分は過去の権力者よりも最も高い位置に立っているのではないか、と思いたくはなるが、自らよりもはるか高い位置、いや、「高さ」といった概念が地球の引力を前提としているが、あの「宇宙」といったどこでもない場所に観察点を持つことのできる人々が存在することを思い出す。しかしそれにしてもこの視覚的体験は他にないものだ。宮崎駿でさえも描ききれていないと呟きたくもなる。
などとあれこれ思索を巡らしているうちにLondonはHeathrowに着き、乗り換えてBruxelles Aéroportに到着。三度も食事が出た。今回は久しぶりに、着陸に伴う高度低下による頭痛が出た。サイパン以来。食べ過ぎると良くないのか?
空港からはゲント行きの電車に乗り、北駅(Bruxelles Nord)へ。ホテルのある北駅の西側はもともと治安が悪かったらしいが、World Trade Centerなどで再開発されているため綺麗になっているが、代わりに何も無かった。ホテルでビールを飲んで寝る。

出発前夜の騒動

旅行のことについて書く前に、旅行前夜について書かなければならない。
その夜、オトレ関係のフォルダを開こうとしたら、フォルダが無い。ふと数日前にゴミ箱を空にしたら何百というファイルが消えていった光景が瞬間的に頭をよぎる。しかし私は落ち着き払っていた。ふと噂に聞いたことのある復元ソフト(サルベージソフト)をvectorで探し、即座にダウンロードする。しかし起動ディスクはサルベージできないため、CD-Rに焼いてから、CD起動で復元するとのこと。しかし、私のpowerbookにはDVDは読めるがCD-Rを焼く機能がついていないという反時代的な事実が判明。iPod起動も試そうとしたが、USBではなくFirewireでないとダメとのこと。時刻は出発前夜の深夜3時。飛行機は10:50発。急いで2人の友人にメールし、1人に焼いてもらうよう頼むが、うまくいかず。そこで思いついた、深夜でも起きていそうな友人、すなわち初台のM氏に連絡する。案の定起きていらっしゃった。神。焼いてもらっている間に僕は自分の荷物をまとめ、6時の電車でM氏の事務所を訪問し、CD-Rを受け取り、成田へ。BAはいつもどおり遅延になり、11:30頃離陸。出国前と約束していた某財団のレポートを書くことは叶わず、渡航先でまずサルベージを行わなければならないという悲しみを胸に、いつも以上に揺れる飛行機で眠りに就いた。
毎日ブログを更新しようかと思ってみたが、1つめのホテルではネットがつながらず、今日からのホテルではなんとかつながるが電波が不安定なので、気が向いたら更新する。まだサルベージが終わっていない。

旅行の前

旅行は行く前と帰ってきた後が忙しい。
宿の手配、訪問先のアポ取り、日程のツメ、必需品の購入、資料の整理などはもちろんのこと、学校の課題、財団レポートの締め切りなどてんやわんやである。溝口健二映画祭には、未見の「祇園の姉妹」だけにはなんとか駆けつけたが、もはや映画を観ていることに後ろめたさを感じる季節になってきたので、今後は(ほぼ)映画絶ちする予定である。蓮實さんであっても、博論を書くときにはゴダールとジョン・フォードの新作以外は映画を絶ったのである。うむ。しかしそれにしてもこの映画祭パンフは相当充実している。蓮實さんの溝口健二試論と香川京子・若尾文子インタビュー、写真満載、そしてフィルモグラフィーまでついて1,000円。ここまでまとまっている溝口健二の文献は書籍を含めて他を見渡してもないのでは。そうこうしていると、ようやくムンダネウムのマンフロワさんに状況を聞くことができた。Iさんから聞いていたように、やはり整理中らしく、その場で取って出して、という感じらしい。3、4日行かなきゃだめだろう。テレビをつけたら、競馬の凱旋門賞が10/1に開催されるらしく、僕はちょうどパリにいる。そしてディープインパクトが出る。行くべきか死ぬべきか。死ぬべきかな…。ブリュッセルではムンダネウムに行く日以外はたいして見に行くところがないなあ、と行く前から退屈していたが、アール・ヌーヴォーと言われるヴィクトル・オルタやポール・アンカール、O.v.リィセルベルグ、ギュスターヴ・ストローヴェンの建築を巡っておられる方のサイトがあったので、それを案内に巡ることにする。もちろんオトレ邸を含む(アンリ・ヴァン・ド・ヴェルドのインテリアは見れない!)。ちょうどよいバスツアーもあるし。あとはブリューゲルと象徴派は必見。時間があればデン・ハーグのマウリッツハイスにフェルメールとレンブラントを見に行きたいところ。
今日は、高校の部活の同期のSさんと一個下のM君と会って、上野の焼き鳥屋で飲んだ。地元の友人と会うのは、大学入ってからの友人とはまた違う気の置き方になる。M君は薬学部のM1で、色々と病院や薬剤関係のウラを教えてくれた。風邪を引いてから葛根湯を飲むと悪化するとか、新薬投与のバイトはかなりヤバいことなど、色々と。次は四人集合をめざす。帰りにトーマスクックの時刻表とロース『装飾と犯罪』を買って帰る。読む時間あんのか。ないだろ。

Listen like the animals do