6月の下書き

フランスでカザンの『波止場』を見た時に知人と話をして以来再見したくなっていた『我が谷は緑なりき』をようやくDVDで。地上にこれ以上美しい映画があるのか。ジョン・フォードは天使である(ヴェンダース主義者だと思われると困るが)。

その後なぜかシャマランの『アンブレイカブル』『スプリット』『ミスター・ガラス』を一息に見る。現代にこれほど悠長に映画を撮る監督もそういまい。その気になればいつでも続編が撮れるのだというように、説話のエコノミーから遠ざかり、たっぷりとカメラを回し続ける。それは観客を惹きつけるのに十分だが、しかし本気で怖いわけでも、納得いくオチが待っているわけでもない。ミュータント映画を撮るには派手なSFXや特殊なスーツなど必要でなく、ただレインコートのフードをかぶらせ、「常人」の信念を揺らがせるだけで十分である。

….とここまで書いて、シャマラン映画について書くことに時間を使ってるのがバカバカしくなり、放置したのだった…。