第6回

『アイデア』での連載第6回は、「ナポレオンのモスクワ遠征地図」で有名なシャルル・ジョゼフ・ミナールです。「ナポレオン地図」が優れていることを指摘してそれでおしまいだった従来のデザイン史の言説から脱却するため、彼の仕事の全貌を見渡した上で再度「ナポレオン地図」の位置付けを見直し、さらに彼が統計地図の制作時に自らに課していた視覚化の原則を辿ることでその明快な思考を明らかにしました。観念や理論の表現のための図と、データを単純に視覚化し分析するための図に分けるとするならば、後者への分節が起きた大きな出来事ではないかと思います。10年来の宿題の提出がようやく終わりました。書店には10日前後に並ぶかと。

アトラス考─生態学的世界観の視覚化
第6回 シャルル・ジョゼフ・ミナールの流動地図――運河・鉄道時代の空間組織
http://www.idea-mag.com/idea_magazine/383/