1/24 風に書かれた

夕方、ダグラス・サーク『Écrit sur du Vent(風と共に散る)』。階段から転げ落ちて亡くなる富豪の父、それに気づかず階上で踊り狂う放蕩娘。愚かな振る舞いをし続ける人間にも彼らをそうさせる何らかの問題があり、ふとした瞬間に彼らが弱さをさらけ出し、根っからの善人達に餞を送る。最も冷酷な仕打ちと最も寛容な許容が共存する。善人のロック・ハドソンとローレン・バコールの物語のように見せかけて、富豪の息子の女好きロバート・スタックと娘で男遊びの酷いドロシー・マローンが抱える複雑な感情のほうが遥かに豊かに描かれる。オープニング、暴風吹き荒れる中の車の爆走、それを運転していた酩酊した男が瓶をレンガの壁に叩きつけ、それを豪邸の二階のベッドから立ち上がって見る男と女、そして立ち上がる別の部屋の女、建物に男が入っていき、落ち葉が豪邸の中に吹き込み、白いドレスを着た階段を女性が降りていく、そして銃声が聞こえ、男が再び玄関に現れ、倒れこむ。それを窓から見ていた女性が倒れ、その窓から吹き込んだ暴風で日めくりカレンダーが勢いよくめくれ、日付が数ヶ月遡ったところで物語が始まる。なんと完璧なオープニングシークエンスだろうか。

帰り、キオスクに献花がされていて、何かと思ったらどうやらキオスクの店員が亡くなったとのこと。子供の描いた絵もあり、とても暖かい人物だった様が偲ばれる。観光客向けのガサガサしたこの界隈で隣人愛を見た思いになる。