9/15-25 旅行の後始末、マルモッタン、文化財デー

9/15
ずっと寝ていたい気分だったがそうも言ってられず、朝目覚めてフラ語を休んでマルシェに行き、必要なものだけ買い揃えた後図書館に本を返しに行き、家賃を払い、後は終日仕事に追われる。

9/16
終日仕事。

9/17
妻だけフランス語へ。終日仕事。

9/18
ようやく仕事の目処がついたので、マルモッタン・モネ美術館へ。スイスのヴィンタートゥールにある「Villa Flora」と呼ばれる邸宅に住んでいた Hahnloser-Bühler 夫妻が集めたコレクション。フランス初公開。彼らは直接芸術家に会い、彼らの勧めに従って購入をしたとのことで、ジョヴァンニ・ジャコメッティ、フェリックス・ヴァロットン、ホドラーらのスイスの作家、それにマティス、セザンヌ、ヴュイヤール、ゴッホなどのフランス人/在仏の作家たちの作品が中心だが、いかにもそれっぽい典型的な絵は少なく、画家たちのあまり知られていないような側面を開陳する、思わず唸ってしまうような作品が並ぶ。常設展の印象派の展示、特にモリゾに充てられた部屋で既に充実した内容なのに、それに加えてこの特別展。このヴォリュームだから今回はモネは無いのだろうな、と思っていたら地下がまるごとモネの部屋。ものすごい充実感であった。
夕方、アニメ映画化された『百日紅』を見にいく。期待していたのだが、徐々にげんなりし、大事なところで「三国無双」みたいな音楽が流れてきていい加減見放した。完全に蛇足な「その後」の説明と現代の隅田川、そこからエンドロールにあの歌が流れた時には恥ずかしくて死にたくなった。

9/19
午前中、マルシェ。パリのマルシェにちゃんと行くのは久しぶりだが、セップやジロール、トロンペットなどぶりぶりしたキノコが並び、すっかり秋っぽくなっている。ムール貝の季節が再来したため、購入。
午後、メゾン・ラフィットのシャトーへ。文化財デーのため無料。F. マンサールの傑作と言われ、教科書のようなファサード(階層ごとに柱のオーダーが違う)に仕掛けだらけの内部空間。観光客が少なくて嬉しい。メゾン・ラフィット駅近くの食材屋もなかなか楽しかった。
帰り道、クリュニーで降りて本屋ジベール・ジョセフにて語学の本購入。帰ってみたら答えがなくて、Amazonで発注する。
夜、セップをリゾットにして食べる。うまいがインスタントのブイヨンを使うべきではなかった。まだ水の方がよかったのでは……。

9/20
午前中、仕事。
午後、別のシャトーに行こうと思うが、行きがけに妙に人が並んでいる場所を発見。文化財デーの特別開館で普段は入れない建物が空いているようだ。我々もその先に何があるかも知らず列に参加し、Hôtel de Beauvais(Cours administrative d’appel de Paris)、Hôtel de Chalon-Luxembourg、Hôtel d’Aumont(Tribunal Administratif de Paris)の3件を回れた。全て寮の周りで、いつも「ここの中はどうなっているのだろう」と想像を膨らませていたのだが、ついに入れた。リノベされているところと全く廃虚のままのところがあったが、廃墟の方はもうアジェの写真の時代から時間が止まっているようで、時間というものが訴えるものは非常に大きい。貴重な経験であった。

9/21
仕事、洗濯。

9/22
約一ヶ月ぶりのフラ語。旅のことを聞かれ、フランスのケーキではなかなか深いところからの幸福感を得られない、ということを話す。フランス庭園も同じく、「知的には理解できるが、体の奥深くから来るものではない」と話す。しかしパリのケーキは先生にも甘すぎるとのこと。この話はまだ続きそうだ。
夕方、歯医者。歯の型を取り、仮のクラウンを入れる。ようやくあと一回で終わる。
女子美の部屋で飲み会。関西のフルーティストYさん、名古屋部屋のペインターAさんと西のノリで盛り上がる。

9/23
昼、武蔵美の後輩Aちゃんとその旦那さんNさんと4人で食事する。Aちゃんは妻の助手時代の担当学年だったので、積もる話もあり、つい夕方まで話す。旦那さんはフランス人の中で働いているので大変そうであった。
Aちゃん夫妻と別れた後、明日の夜、ロンドン留学中の韓国のS君も来てうちで5人で話すことになったので、モントルグイユで買い出しして帰る。
夜、サミュエル・フラーの『最前線物語 The Big Red One』をiTunesで見る。日本ではフラーのレトロスペクティブがやっているらしく、フラ語の先生Bが最近やたら名前を出すこともあり、iTunesで探したのだが1件しか見つからず。ただどんちゃんやるだけの戦争映画とは全く違う、人間の生き方を問うような深い映画。それでいて笑いを絶やさず、皮肉が効いている。永遠に続けられそうな話であった。

9/24
午前中、フラ語。夏から一緒だったアイルランドの音楽家Gが出席する最後の講座。やっと仲良くなってきたのに寂しい。彼からはたくさんのジョークと、ジェイムズ・ジョイスのアイルランド性などを教えて貰った。また一月に少しだけ戻ってくるそうなので再会が楽しみである。彼は武満の大ファンだそう。
昼から私は仕事。
夜、韓国のS君、それにAちゃん夫妻と5人で飲む。S君は徒歩5分のところにホテルを取っていてびっくりした。彼の兵役のことや、Nさんの農大での経験などを聞く。楽しい一夜。

9/25
昼、昨日の煮込み料理の残り汁でパスタ。
夕方、アール・エ・メチエのカフェで書き物。旅行で学んだ分を整理してまとめるのは骨が折れる。
夜、iTunesで『ジュラシック・パーク2』を見る。酷い。