4/14 アントワープへ

今日はパリからタリスという新幹線みたいなものに乗ってアントワープに移動する。約2時間。切符はネットで予約して、駅のSNCF(フランス国鉄)の端末でプリントアウトできた。
途中、検札に来た車掌が「隣の女の子と後ろの女の子が連れ立ちみたいだから席変わってあげてくれないか」と言ってきたので、いいよと言って変わってみると、隣の席はビール片手に酔っぱらった中東系のおじさん。「ビール飲むかい」と言ってきたので遠慮したらガサガサと紙袋からオレンジジュースを出して、くれた(いらないけど)。「チップス食うかい」と勧めてきたり、「私はアフガニスタンから来てイギリスに住んでる」と自己紹介して「俺はムハンマドだ」といってパスポートを見せてきたり、やたら話しかけてくるのだけれど、とにかく酒臭い。そしてイギリスに住んでる割りに英語が酷い。国境越えたあたりで「SIMカードをこっちに替えてくれ」って頼んできたり、人の膝にiPad置いてきたりやたらと図々しいし。挙げ句の果てに、ブリュッセルから乗ってきた人に「そこは私の席よ」と言われて「お前が替わるのか?」と僕に言ってきたので、「いや、あんたが替わるんだ」と告げると修学旅行生の集団みたいな中の席に替わっていった…….。やたらとうるさい修学旅行生を黙らせるには充分なインパクトだったようだが。
アントワープに着くと、異常に寒い。やはりベルギーは寒いのか。来る予定が無かったのでガイドブックを持っておらず全く土地勘がわからないのだけれど、ホテルにチェックインを済ませて歴史地区の方を散歩してみると、やっぱりベルギーは愛すべき国だ!と修士のリサーチで来た時のことを思い出して楽しくなる。駅前の目抜き通りや教会前の広場こそ観光客向けの店ばかり軒を連ねているが、一本小道に入るとほとんど人も歩いていない静かな道になる。パリにはこの静寂はなかった。パリは美術館や博物館は好きだけれど、街としては全然好きではない。あの酷い臭いもここには無い。
アントワープに来たのはプランタン・モレトゥスを見る為ともうひとつ理由があって、ポール・オトレの「世界都市」の計画が各地で頓挫しまくって、最終的に流れ着いたのがアントワープのスヘルデ川の嘴型の河岸だったからである。別に来たからと言って何かわかるわけでもないが、オトレ研究をした身としては気になっていたのである。それで実際河岸に来てみてもやはり大して何もないのだけれど、やっぱりあの話は何かしらパッケージにしないとな、という思いが湧いてくる。途中で寄ってみた本屋でも、思わずあの計画の設計担当だった建築家グループ「de 8 en Opbouw」の資料を探してしまうし。なんか「やれ」って言われてるような……。
ベルギーはフランス語とフラマン語とオランダ語が地域によって分かれていて、観光地の標識なんかはそれに英語が加わって4カ国語表記になっている。それって印刷物も4倍の紙面になってしまうわけで、効率の面から言えば恐ろしく大変だよなあ。それにしてもオランダ語は全くわからん!読み方すらわからん!店に入る気すら起きないぐらいわからん!意味が想像できるのはムール貝とワインぐらいのもんだ。

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自分で漕ぐなら充電してもいいよスペース。この馬鹿っぽい発想は好きだ。