4日目: リシュリュー

「リシュリュー」と呼ばれているBnFの旧館へ。「リシュリュー」は地名で、「フランソワ・ミッテラン」(建てた大統領)とか「トルビアック」(地名)とか呼ばれてる新館と違って全くの古典的建築で雰囲気がある。数年前の火災が関係しているかどうか知らないが大規模改修中で、正面の庭にプレハブ小屋が積み重なって建っている(プレハブも外観に気を使っている感じ)。入口で軽い荷物検査を受け、僕の見たい資料がある「地図・図面 Cartes et Plans」部門の部屋に向かう。こういう建物自体の使い方がわからないので部屋の入口でどうすればいいかわからなかったが、ブザーみたいなのを押せば中から鍵を開けてくれた。部屋は左右に斜め勾配の机が並んでいて、地球儀か天球儀やらアストロラーベやらが置いてあって、19世紀かと思うような研究部屋。とんでもないところに来ちゃったな、と思いながら近くにいた白衣の司書の方に「これを見たいんです」とリストを渡して事情を話すとロッカーの鍵を渡され、一旦外に出てバッグを置く。別の司書の方に再び「これを見たいんです」と言うと、閲覧申請書を束で渡され、閲覧席を確保してくれる。1冊につき1枚申請書を書き上げると、書庫から運んでくる担当のおっちゃんたちがワイワイと持ってきてくれる。このノリがとてもよい。日本では滅多に触らせてくれないような貴重書が5冊、目の前にドン、ドンと置かれ、「楽しんでね」的な感じで去って行くおっちゃんたち。
もう貴重書がたくさん目の前に置かれているだけで目眩がしていたのだが、1冊目を開くとそこには夢の世界が……。いやあ、映画で泣くことはあるけど、デザインで泣くことは全く無かったのに、これは泣きますよ……。1ページ1ページめくるたびに200年近く前の人達のとんでもない仕事意識と労力が立ち現れて、私と本の間には、別の本も他の人も存在せず、ただ空気があるのみという事態に泣かないではいられましょうか。いちいち「オーマイガー」的に感動しているジャポネはさぞかし奇異に映ったでしょう。ほんとに来て良かった。
そんなこんなで5時間閲覧と複写を続けてデジカメの電池が切れたので明日も来ることにする。うーん、フランス語とドイツ語がもっと読めたらいくらでも読み込めるのになあ、と思いながら、図書館を後にした。ベルヴィルに帰って荷物を引き取り、新しい宿があるラ・デファンスへ移動するのだった。

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