5/3-5/4

5/3
物は試しにラスパイユ通りのビオマルシェに行ってみるが、既に店じまいの最中。腹が減っていたのでしょうがなくモンパルナスのインド料理屋に入るが、可もなく不可もない味だった。ラッシーを頼んだらカラフェで出てきて、3杯分ぐらいの分量。勝手がわからんなあ。
ここのところ疲れていたので夕寝する。ひさしぶりに晴れ間が覗いて気持ちよかった。

5/4
今日だけは1日中晴れだと思って出かけ、Centre Pompidou近くで見つけた良さげな古本屋で小一時間デザイン関係の本を立ち読みしている間に雨が降ってきて、傘を持ってこなかったことを呪う。コルビュジエの『La Ville Radieuse(輝く都市)』のリプリントが売っていたが、300ユーロ超えでぶっとぶ。少し悩んだが、この値段ならオリジナル買う(帰ってAmazonを見てみたら今年の6月に再びリプリントが出るとのこと)。ちらちら読んでみたが、ヴォワザン計画(パリ改造計画)ってこちらの人には当然ながら当事者で、日本人と捉え方が違うだろうな、と当たり前のことに気づく。他にもロシア・アヴァンギャルド、未来派、ダダ、シュルレアリスム、プルーヴェ、スタインバーグ、ルリュールなどなど狭い割に良書が沢山あったが、おいそれほいほいと買うわけにもいかず、礼だけ言って退散した。あのヴフテマスの巨大な全集って誰が買うんじゃ(笑)。本の大きさに倫理ってものはないのか!

4/30-5/2

4/30
サヴォア邸での『folding cosmos』展オープニング。生憎の雨だったが(私のせいではない)、日本の作家さん達の作品がどれも素晴らしくて嬉しくなる。作家としてやっていくというのはデザイナーとして生きていくことよりはるかに覚悟が必要なことかと想像される。身を正す思い。それにしてもフィンガーフードがうまい。
帰りに友人らとフォーを食べ、疲れていたので帰って夕方から寝る。夜方起きて、旅の計画などリサーチ。

5/1
同時期に来た名芸のY口くんの誕生日パーティー。持ち寄った料理はちらし寿し、プルコギ、ワカメスープ、鴨の煮込み、チーズなど多国籍すぎなラインナップ。朝の5時半まで話し込んで、正味3人でワイン5本+スミノフアイス(大瓶)1本。飲み過ぎ。

5/2
フランス到着からちょうど1ヶ月。そんな大事な節目なのに、昨夜の痛飲のおかげで昼に起床。不思議と頭痛も何も無い。酸化防止剤が入ってないからなのか?
起きると、パリに来てから入稿した印刷物が無事に日本で納品されたとの報せ。仕上がりも上々のようで、とても嬉しい。
夜はサヴォア邸展示に参加していたK松さんの帰国を惜しむ会で、ベルヴィルのタイ料理屋で食事。いやあ、ここもうまい。カフェでK島さんと話し込んだが、思わぬ宿題をもらうことに。むう。
帰ってフランスの新古品iPhone販売サイトをようやく見つけ、発注した。iPhoneなら辞書アプリ(高い!)もオフライン地図アプリ(メモだらけ!)もそのまま使えるのでAndroid等は考えにくかったのだが、さすがに新品で8万弱は痛すぎるので、助かった。あとは無事に届けば良いのだが。

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Aux Merveilleuxのメレンゲケーキは意外と甘くなくて、サクサクと食べやすかった。うまし。

4/28-4/29 コルビュジエ展

4/28
午前中、洗濯、シーツ交換、掃除、フラ語。
午後、ペティナイフ、ピーラーを買いに再び問屋へ。ついでにリシュリュー通りのいつものLPQにて勉強し、そのままギャルリー・ヴィヴィエンヌの本屋物色。夜はポトフ作る。
フラ語の先生は今日からローマにバカンスとのこと。いつも13:30に追い出されるまでやるのに今日は13:00に終了。適当だなあ……。いつも来ていたフランス語の一番うまい女性がいなかったが、後で聞いたら私が腰痛で休んだ日を最後に引っ越してしまったとのこと。もっと仲良くなりたいと思っている間にいなくなってしまって寂しい。これからこういうことが増えるんだろうなあ。

4/29
今日からオープニングの『Le Corbusier: Measures de l’Homme』展@Centre Pompidou に昼から参戦。数年前の森美での回顧展に比べてとてもこじんまりとしたテーマ展(既に記憶が薄れているが)。設計理論の変化に焦点を当てたビギナー向け展示、という感じで社会的側面はほとんどスルーだが、初期のラ・ショー・ド・フォンでの作品や東方行きのスケッチなんかは見れて良かった。個人的には時計職人から出発したコルビュジエの初期の美学構図的な作品群から一転してキュビズムの影響を受けていくところが唐突すぎて未消化なのだが、アメデエ・オザンファンって人はほとんどコルビュジエの変名かと思うほど同化しているように見えてしまう存在で、(日本では)美術史的にほとんど文献が無い人だと思うのだけど、一体何者だったのか。
今回、この非常に単純化された展覧会を見て逆説的にコルビュジエの二面性というか、機能主義的なエコノミーと絵画・彫刻的な曖昧さという逆方向のベクトルを矛盾なく接続してしまうところが本当の凄みであり、いつまでも謎に思わせるところが魅力の原因になっているのだろうと感じた。
本屋で思わず重量級の本を買ってしまったため、直帰して隣のカフェで読む。

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4/26-27

K島さんチームのサヴォア邸での展示設営のお手伝い。色々トラブルはあったけれども最終的にはうまくいったみたい。サヴォア邸は体でおぼえた!とか言ってみたい。

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サヴォア邸でも研究室スタッフのような仕事をする私(映像変換中)。

4/25

スーパーのクズさと近所のマルシェのイマイチさにいい加減腹が立っていて(これは贅沢を言っているのではなくて本当に高くて品質が悪いのです。傷んだトマトやしおれたハーブ、腐りかけの貝なんかを平気で売っている。たまにいいところはあるが)、意を決して評判の良いMarché Président Wilsonまでメトロで行ってみると、確かに評判通りレベルが高く、魚もハエがたかってないし(その辺のマルシェの魚屋はマジで臭い)、野菜もピカピカ系、不揃い系、ビオ系などお好みに応じて色々揃っていて、値段も高くはなく、この品質の日持ちに比べればむしろ安い。高級食材については青天井だが、それ以外は至って普通。ここに来れば辛酸をなめることもないじゃん……。ちょっと通ってみるか。ジャガイモ専門店があってちょっとテンションが上がる。

午後は友人が携帯を買うのに自分のリハーサルがてら付き合ったのだが、SIMカード(free mobileの)が自販機で買えてちょっと衝撃的なくらいのあっけなさ。4G回線20GB/月で20ユーロ。この価格破壊とコンビニエンスさはすごいなあ。自分のiPhoneを見ながら、SIMロックかけてる日本の旧態然とした囲い込み商売を呪う。

夜はサヴォア邸の展示のために来ているK島さんチームにK松さんとK原さんが加わって(みんなKだな)、次の搬入の前に顔見せ的な食事会。日本人だけでしゃべってると本当に日本にいるみたい。

4/24 成瀬2本

こちらに来て見る夢の第1位が「まだ日本にいる」で、あれ、おれ日本にいる。やばくない?ん、それとももう一時帰国したのか?恥ずかしい〜。というやつで、夢には欧米人はほとんど出てこず、日本人は日本人の夢を見るんですな(一度だけ、フランス人にタカラヅカの説明をする夢は見た)。

ここ十日ぐらいこちらの生活に慣れながら日本から持ってきた仕事を片付けるのに追われる日々だったのだが、久しぶりに映画に行く。パリ日本文化会館でずっとやっていたのに行けずじまいだった成瀬レトロスペクティブに行き、壁紙、リーフレット、その他大駱駝艦だらけの中、『晩菊』と『秋立ちぬ』を見た。受付のお姉さんは日本人で、久しぶりに「こんにちは」って挨拶される。なんだか照れくさい。

『晩菊』は子連れの未亡人二人と子供のいない心中未遂の女性の3人が戦後のドタバタの中で息子や娘と別れたり昔の男に幻滅しながらそれぞれ強く生きるという、今なら絶対通らないであろう地味なハナシなのだが、とにかくこれは日本酒映画で、パリにいる私にははっきり言って目の毒。飲んだくれの未亡人の望月優子がそれはもうおいしそうにサケを飲むので「あー、やばいなこれは」とパリの日本酒の値段と飲酒欲を天秤にかけながら見てしまった。それにしても後半モノローグが入ったり、音楽がずっと流れてたり、喜劇的なシーンが多くて、成瀬ってこんな俗っぽい監督なのかしら、と思った。

で、『秋立ちぬ』は未亡人の母親に連れられて信州から上京した少年が、妾の子として育てられた東京の旅館(少年の母親が働くことになる)の少女と仲良くなり、少年の母親が旅館の客と熱海へ駆け落ちしてしまった(二度と出てこない)ことをきっかけに、大人に振り回される現実から抜け出し二人して海を見に行く、という少年少女駆け落ちもので、もう上京した少年と母親が橋を渡るところで少女とすれ違う瞬間から泣きのスイッチが入り、信号で東京の悪童達に置いていかれたり、フェンスをよじ登って野球をするところで遅れをとったり、要所要所で橋が出てきたりで、隣のフランスのオッサンがこっちの手すりの内側にズイズイ進出してこなければ号泣していたであろうものを、多少こついても全く動じないおっさんに小さい声でフランス語で排泄物を意味する単語をつぶやき続けたが甲斐なし。それにしても少年少女とはいえ大悲劇は大悲劇であり、ウェス・アンダーソンもこれを見たんでは、と思わんでもなし。

いやはや、しかし2本見てすっかり日本シックになってしまった。危険なり。

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 歩いてたら急に「Typographie de Firmin Didot」と書いた建物。しかしテナント店舗は全く関係なし。何かいわれがあるのだろうか。そういえばオテル・ド・ヴィルにも名前があったが、ディド先生のことは不勉強でして。

4/23 オーブン

我が部屋には幸運なことにオーブンがあって、これを厚手鍋と組み合わせたら最強じゃんウキウキ☆と思っていたところ、昨日いざ使おうと思ったらタイマーのノブが壊れていてポロっと取れ、タイマーを回すことができないではないか!小一時間あれこれ工夫して直そうとしたのだが全く直らず、私の世界は終わった!と天を仰ぐほどの絶望にみまわれ過去の利用者の杜撰さを呪い殺そうかと思ったのだが(誰か直せよ!)、なんとか気を持ち直して「デロンギのサポセンぐらいあるはずだ、6年前のオーブンならまだ部品があるはず」と思って検索したところ、デロンギストアのようなものは皆無で、怪しいHPの一般店しかない。一応Authorized Resellerと書いてあるが、こんなところで本当に直るのか?しかも遠い……。と半信半疑でモンマルトル方面に向かったところ、思った以上にこじんまりとした町の電気屋のようなところで、はっきりいって散らかっている。しかしバックヤードにはなにやらいろんな部品が並んでいる様子。ずっと電話してたジェラール・ドパルデュー風のおじさん(あくまで雰囲気ね)にうちの壊れたノブ君を渡し、スペアパーツはないかと聞くと奥から箱を出してきてガサガサやるが、あきらかにデカいノブしかない(それでも一応比べてみるおじさん)。無いなら注文できるか、と言って型番を伝えると、専用HPのようなもので注文してくれた。やった!部品代たったの5ユーロ。ありがとう、おじさん!それで私のパリは始まるのだよ!と(いう気持ちで)お店を後にした。感謝しなさいよ、後の利用者!まったく。

ついでにベラスケス展を見ようと思ったら2時間待ちで、証明写真マシンに5ユーロ飲み込まれたこともあり、疲れたので家に帰って仕事しました。

4/20、4/21

4/20
こちらで知り合ったK島さんとK上さんの搬入の手伝いで、かのサヴォア邸に作品搬入するという幸運を授かりました。行きはK上さんとはぐれたり急に電車が止まって降ろされたり大変だったのだけど、素晴らしい梱包のおかげでトラブルなし。お昼はお庭でランチするなど、ピクニック気分(しかし日射しがきつくて途中でギブアップ)。帰りは久しぶりに中華に行って、どこの地方料理とも言えないような、別の意味での無国籍料理を味わいました。来週もう一回搬入に行く予定。

4/21
フラ語レッスン。マラソンに参加したという生徒の話からジョギングの話になり、なぜかみんなムラカミムラカミと言い始めて、「ムラカミって誰」と聞いたら「アーティストだ」と言われ、「小説家のムラカミ?」と聞くと「ああ、本も書いてるね」「アリュキ・ムラカミ(フランス語はHを発音しない)」という人もいる一方で「芸術家だ」という人もいて、なんだかみんな混乱し始めたら、どうやら村上春樹と村上隆を混同していることが判明し、「ムラカミって日本にはそんなにいっぱいいるの!」という話になった。
午後はM澤先生より教えてもらった近所のフォルネイ図書館(徒歩2分)に初めて行ってみるが、椅子も寮のものより良いし、WiFiも一応つながるので、確かにここはオフィスに最適かもしれない。っていうかみんなPC持ち込んでてオフィス状態。なにせ建築が文化財級だから居心地が良い。また利用しよう。

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4/18、4/19

4/18
前日のおかげで昼まで立ち上がれず。おかげで成瀬の『鶴八鶴次郎』を見ることが叶わなかった。私はこうして人生を損していくのだろう。
昼から友人達を連れて大きな本屋を二軒まわり、本を購入。前を何度となく通っていたが入ったことのなかった「Gibert Joseph」はビルまるごと本屋で、入ってみるとその大きさに驚く。なんというか、パリっぽくない大きさだ。例えるなら八重洲ブックセンターというところか。語学の本は悩みに悩んで結局買えないのに、レシピ本は2分で買える私。
オデオン近くのギャラリー街を通ったが、マレ地区のギャラリーとは全然違ってとにかくオカネモチっぽい。現代アート鑑賞がブルジョワのたしなみとでも言わんばかりだ。街のギャラリーでしれっと仏像を展示している感覚もすごい。あと、ひとつ貴重書屋を見つけた。「Livres Anciens」って「古書屋」って訳すわけにはいかないし「古文書屋」でもおかしいから「貴重書屋」とでも言うしかない。
夜は遅くまで日本の仕事をする。

4/19
食べるものが何もないので食材を買いに30分ほど歩いてムフタール通りまで行ってみる。正午過ぎてたので危なかったが、なんとか材料を購入。初めてまともに肉を買うことができた。というのも、こちらは肉の相場が日本と全然違って、鳥ムネがスーパーでキロ3千円ぐらいしたりする。そしてこちらのスーパーは決して安くて品質がそこそこの品を売っているわけではない。マルシェがいいのかと言えばそうとは限らないし、買い物にかなりの選択眼が要求される。とにかく物の値段なんてあってないようなもので、何かと付加価値をつけて高くしようというのがこの街の仕組みなので、「他にたくさん商品があるから」「日曜や夜遅くでもやってるから」「周りに店がないから」「観光地だから」などの理由で値段が全然違うと思う。だいいち肉の部位の名前がまだ覚えられないし。どこでどういう買い方をしたら得なのか、まだ手探り状態である。
帰って仕事を一つ片付け、今日買ってきた材料でプティ・サレを作ろうと思うが、よくよくレシピを読んでみたら、ドゥミ・セル(1/2塩漬け)の肉を買うべきところを普通の肉を買ってきてしまったので(よく考えてみればそりゃあそうだ)、しょうがなく半日塩漬けにしただけの肉で挑戦してみる。結果、そこそこ食えるのだが、塩分と旨味が足りず、結局マスタードで味を足しながら食べる邪道っぷり。こっちの生活に慣れるのにはまだまだ修行が足りませんですばい。

4/17 

夜、日本と韓国の友人で飲み会をしたのはいいのだけれど、帰り際に寮の玄関で別の友人に捕まってしまい、「さっきオープンスタジオで知り合った近所のアーティストの家にこれから飲みに行くから一緒に行かない?」と言われ、ほろ酔いで良い気分だったのでついていったら、家は本当に近かったのだけど、いわゆる一つのヨーロッパ的なパーティーで、爆音でYouTubeを流しながら夜中にみんなダンスしまくり、これは流石に苦情が来ないのか……と心配しつつ飲んでいたら、あなたも踊りなさいよ、と言って激しく踊ってた人は吐きに行くし、かなりのカオスっぷり。バスクから来たカップルと友達になれたのは良かったけど、ちょっと酷かったな……。これがスタンダードなのだろうか。

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