8月某日 あまりにもな別れ

朝6時に友人宅を出て、RERの通っている駅まで20分ほど歩く。空港には時間通りに着いたが、セルフ・チェックインの端末で搭乗券を発行しようとすると、「すみません、搭乗券を発行できません。係員に尋ねてください」と出る。スーパーマーケットのセルフ・レジでも結局スタッフを呼ぶ羽目になることがよくあるので、何のために機械があるんだろうね、と思いながら係員に尋ねると、「もう一回やれ」と言われる。もう一回やってみても案の定同じことが再現されるだけなので、係員がスタッフ専用の端末で搭乗券を発行し、「あそこで荷物を預けろ」とセルフの荷物預けカウンターに並ばされる。順番が来て、今発行された搭乗券と、今発行された荷物のタグのバーコードをスキャンすると、「すみません、荷物を預けられません。係員に尋ねてください」と出る。係員に尋ねると、「こうやってやるんだ」と自らスキャンしてみせるが、結局同じエラーが出る。馬鹿かと思いながら見ていると、「あっちの有人カウンターで預けろ」と言われ、犬やゴルフバッグを預けようとしている人たちが並ぶ列に並ばされる。いい加減にしろと思いながら待っていると、別の女の係員が「あなたたち!何してるの!そっちじゃないわよ!」と言ってくる。完全に頭に来て、「あっちに行ったけどうまくいかないんだよ!てめえの会社の糞みたいなシステムをどうにかしろ!」とキレる。テストもろくにしていないポンコツなシステムを実用するから結局人間が対応する羽目になって、しかもその人間はもう頭を使わなくてもいいよう仕込まれているから全く使えず、客がキレる羽目になる。なぜこんな国が先進国ぶっているのか。「ごめんなさい」の一言も言えないエゴの塊ばっかり生み出して、「議論」という名の罵り合いしかできない。こんな国は本当に滅びればいいとすら思った。空港というところはおしなべてストレスフルなのであるが、それにも限度があるだろう。
機内ではあまりにも暇だったので『ロッキー』の続編である『クリード』を見る。決して冴えた監督ではないと思うが、やるべきことを心得ているとは思う。主人公からは「貧しさ」というステレオタイプを除去し、ドブ板物語になることを避けたのが懸命といえるだろう。なにしろクリードを応援する恋人役と母親役の女優が良いし、「自分が生まれたことが過ちではなかったことを証明したい」と言って敵に立ち向かっていくクリードには思わず涙腺が決壊した。パンチをもらいすぎだし、こんな腰が引けたボクサーがいていいのかとは思ったが。
羽田に着いて外に出ると、文字通りまとわりつくような湿気。日本にいた友人たちには申し訳なく思う。