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結果

非特異IgEの値は基準値より低く、正常だった。ハウスダストとダニに対する反応は5段階中の「3」で、要注意だったけれども、まあそんなことは言われなくてもわかっているので、何か他のもので極端に反応が高ければ原因がわかったような気になるのだけれども。食べ物も疑ってたけれど大人が食品アレルギーになることはほとんどないということで、またもや迷宮入りする私の体調。体調が悪くなったらとりあえず怪しいものを全部やめて、一個一個原因を探しては潰していく作業はほとんどプログラムのデバッグと同じだよね。Ha Ha Ha
とにかく消化に良いものを食べてればそのうちよくなるんだろう、としか言いようがない。内臓も調べたいけど、知りたいような知りたくないような……..。

昨今

皮膚の表面は良くなったのだが、昨日はイタリアンを食べたあと腕の神経がピリピリ痛くて何も出来なくなった。低気圧が影響してることは間違いないのだけれど、根本的な原因としては、自己分析だけれども、
1) 何らかのアレルゲンに反応している。怪しいのは小麦とエビ。
2) 血行障害(血がドロドロ、副流煙で血管収縮、他)
3) ヘルペスウィルスの侵入に対する反応
のどれかだと思う。IgE抗体の血液検査をしているのだけれどまだ2、3日結果が出ないので、とりあえず怪しい食べ物は全部やめて、ごく日本人的な食事をしている。酒もカフェインもやめているので生きづらい(笑)。いやあ、困ったなあ。治す為ならなんでもしますよ、これは。大学の健康診断の結果が出るのもいつだかわからないしなあ。

日本で『グランド・ブダペスト・ホテル』が公開されたので、見直す。ウェス・アンダーソンの画面を単に趣味の露呈として片付けて敬遠または擁護する人がちらほらいて、確かにちょっとその気がある時期はあったけれども、今作は趣味の問題を通り越して、こんな映画的画面は久しく見ていないんじゃないかと思うぐらい凄まじかった。あの画面に驚かないのはちょっと感性乏しすぎる。別に趣味だって大いに結構なのだけれど、あれは自分の世界に籠ったせせこましいもんじゃないと思うんだけどなあ。これはウェスの勝利だよ。

書架Lab.

日曜、府中市美術館で谷田・藤澤両女史がやっている「書架Lab.」の本まるごと一冊解体ショーに行ってきた。大変面白かったのだが、日曜の昼間なのにあまりにも客が少ない!とここで嘆いてもたかが知れているのでしょうがないが、まだ行ってない人はあと2つイベントあるから駆けつけるべし!

トーク+ワークショップ「本をめぐるアートと出会う」
日時:6月1日(日曜日)午前10時半から正午まで
場所:創作室
費用:300円(トークのみの聴講可。その場合は無料、予約不要
ワークショップの定員:20名
内容:本とアートとの関わりについての解説後、アートな本作りを体験します
講師:山田志麻子氏(うらわ美術館学芸員) 、谷田幸(たにだ みゆき、グラフィックデザイナー)ほか。
申し込み方法:5月21日(水曜日)まで(当日消印有効)に、往復はがき(1人1枚)に、住所・氏名(ふりがな)・年齢・電話番号・返信用宛名を記入して、美術館「本をめぐるアート係」へ。申し込み多数の場合は抽せん

レクチャー「印刷の魅力勉強会 in 府中市美術館」
日時:6月7日(土曜日)午前10時半から正午まで
場所:講座室
費用:無料
定員:80名
内容:多くのクリエイターと共同で作品を生み出してきた印刷のプロがその魅力を語ります
講師:熊倉桂三 株式会社山田写真製版所プリンティング・アーツ・ディレクター

公式ホームページ

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罪滅ぼし(仕事)の狭間に

ご時世なこともあって『気分はもう戦争』(矢作俊彦 大友克洋)を読んだ。1話目でいきなりものすごいスピードで世界の線引きをしてしまったと思ったら、2話で今度は作者2人が登場し、「一昔前の芸術映画ふうだなァ。作者が話してる所からはじまるんだ。はやったんだよな。知らない?」とメタ漫画的な自虐をかます。戦争と世界情勢を戯画化して人が死ぬことすらギャグにするなんて凄いことしたもんだ。しかも実在の人物を使って。大友作品の中ではかなり好きな部類だなあ。

そしてようやく行けた吉祥寺バウスシアター閉館間際の最後の大祭り「ラスト・バウス」にて『キャスト・アウェイ』の爆音上映を見られた。ほんとによくできた映画だなあ。いつ終わるとも知れない波の音からようやく脱出できたと思ったら、またエンドロールで波の音が流れてきた時には悪夢かと思ったけど。フィアンセとの再会のシーンではやはり泣いてしまった。

『乱と灰色の世界 6』もようやく手に入れ、こちらも泣く。説話的な感情の高まりが、非常に丁寧かつ誠実に描かれているだけでもうダメなのに、こんな優しい戦いの終わらせ方ができるなんて思ってもみず、泣きつつもとても感心した。ジェンダーとかじゃないが、これは女性しか描けないでしょうなあ。

帰国後数日

時差ボケ治らず。こんなに酷いのは初めて。突然襲ってくる眠気に勝てずうつらうつらした日々を過ごす。渡欧中から続く肌荒れと痒みがまだ治らず、医者に行ってもステロイド渡されるだけなので経過観察中。今日着た麻のシャツへの肌の反応が激しくて、とてもそのままでいられなくなったので一旦帰宅。顔はよくなったのだが、体の皮膚は代謝が遅いのでしばらくかかりそう。治療に専念したいぐらいだけどそんな贅沢は言えず、治しながら働くしかないのだが。
今年の予定が立ち始めた。やりたいことをやるために生活を組織しないと。プログラミング講座の発表会や、新しい企画もやります。

旅の記録

備忘録として。こうやって書くと数十行に収まってしまうのか。空しいが、日本での日々を書けば「武蔵小金井」「武蔵小金井」「武蔵小金井」「鷹の台」「大崎」ぐらいになってしまうのだから断然良いだろう。

4/7 東京・成田空港→パリ・シャルル・ド・ゴール空港/ムニルモンタン地区
4/8 国立工芸博物館(Arts et Métiers)/アンファン・ルージュの市場/ノートルダム大聖堂/マレ地区散策
4/9 フランス国立図書館(BnF)フランソワ・ミッテラン館、特別展: 「été 14」/ウェス・アンダーソン監督『グランド・ブダペスト・ホテル』@mk2 bibliothèque
4/10 BnFリシュリュー館/ラ・デファンス地区
4/11 BnFリシュリュー館/サンジェルマン・デ・プレ〜カルティエ・ラタン/ジャン・グレミヨン監督『白い足 PATTES BLANCHES』@ La Filmothèque du Quartier Latin
4/12 建築・文化財博物館/凱旋門〜シャイヨー宮〜エッフェル塔〜シャン・ド・マルス〜ボン・マルシェ〜ルーヴル宮
4/13 パリ自然史博物館(古生物館、進化大陳列館、植物園)/オーステルリッツ〜カルティエ・ラタン/中世博物館/アップル・ストア(カルーセル・デュ・ルーヴル) ルーヴル宮〜コンコルド広場
4/14 パリ北駅→アントワープ中央駅/旧市街散策
4/15 ルーベンス邸/プランタン・モレトゥス博物館
4/16 アントワープ大聖堂/MAS(Museum aan de Stroom)/女子孤児院博物館(Maagdenhuis Museum)
4/17 アントワープ中央駅→ユトレヒト中央駅
4/18 シュレーダー邸/セントラル・ミュージアム/ディック・ブルーナ・ハウス
4/19 ユトレヒト中央駅→フランクフルト(アム・マイン)中央駅/フランクフルト⇔ダルムシュタット/マチルダの丘(結婚記念塔ほか)
4/20 シュテーデル美術館、企画展: エミール・ノルデ/映画博物館、企画展: ファスビンダーなう
4/21 考古学博物館/シルン美術館/大聖堂/ゲーテ博物館
4/22 フランクフルト⇔マインツ/グーテンベルク美術館/ライン川
4/23 フランクフルト⇔シュトゥットガルト/州立絵画館/ヴァイセンホーフ・ジードルンク
4/24 フランクフルト中央駅→ライプツィヒ中央駅。
4/25 ライプツィヒ印刷芸術博物館(Museum für Druckkunst)/シュピネライ/ドイツ国立図書館ライプツィヒ館併設ドイツ書物・文字博物館(Deutsches Buch- und Schriftmuseum)
4/26 ライプツィヒ中央駅→ベルリン中央駅/IKEA/テンペルホーフ空港外観
4/27 骨董市/フンボルト大学/自然史博物館(Museum für Naturkunde)/自然史博物館〜ベルリン医学史博物館〜中央駅〜国会議事堂〜国家社会主義によって殺害されたヨーロッパのシンティ・ロマ(ジプシー)記念碑(ダニ・カラヴァン)〜ブランデンブルク門〜ウンター・デン・リンデン〜アレクサンダー広場〜クロイツブルク
4/28 ペルガモン博物館/植物園
4/29 ノイエ・ムゼウム/ボーデ美術館
4/30 クロイツブルク〜テラーのトポグラフィー〜ポツダム広場。版画・素描美術館(kupferstichkabinett) 企画展「アルカディア―紙上の楽園」/絵画館(gemäldegalerie)/ノイエ・ナショナルギャラリー/ブリュッケ美術館/ソニー・センター
5/1 ベルリン・シェーネフェルト空港→パリ・オルリー空港
5/2 ポルト・ド・バニョレ〜BnFフランソワ・ミッテラン館
5/3 ポルト・ド・バニョレ〜BnFフランソワ・ミッテラン館〜ポルト・ド・バニョレ
5/4 国立工芸博物館(Arts et Métiers)/小津安二郎『大学は出たけれど』『落第はしたけれど』『麦秋』『青春放課後』@シネマテーク・フランセーズ
5/5 BnFリシュリュー館/小津安二郎『お早よう』『秋日和』@ Le Champo
5/6 BnFリシュリュー館
5/7 パリ・シャルル・ド・ゴール空港→東京・成田空港

5/7-8 帰国

無事に帰国しました。
機内でジョージ・クルーニーが監督したというナチスがかっぱらった美術品を盗むアメリカの計画のハナシ『The monuments men(邦題はミケランジェロ・プロジェクトになっているそうです)』を見て、久しぶりにビル・マーレイが仕事してるのを見た気がするけれどもやはりビル・マーレイはビル・マーレイ役だった。『アルゴ』と同じく原作となる実話が興味を引くのはわかるけど、それに引っ張られすぎなような。ルビッチ『生きるべきか死ぬべきか』のような映画ならではの痛快なフィクションっぷりを出すことはできないのだろうか。
その後、スクリーン以来2度目の『RUSH』で嗚咽し(悪口ばかり言い合ってたライバルの2人が「結婚したんだってな」というところでスイッチ入る)、何度目かの『グラントリノ』でも泣き(やっぱこれ遺書だよなあ)、さすがに『抱きしめたい』を見直すのはやめておいた。前の席のがきんちょが『アナと雪の女王』見てたけど、横目で見てるだけで無理。3Dモデルが芝居してるように見せる、っていうの、おかしくないか?しかもとっても過剰な芝居。そして唄ってるように見せるのってさらにおかしくない?コンピューターの使い方間違ってない?

5/6 帰国前日

実質最終日だけれど、昼から一日リサーチ。「やっぱりだめ」とか「探したけどなぜか見つからない」と蹴られ続けてた資料の改訂版を発見し、見せてもらえた。最終日にこういうことがあるものか。悔いの無いようみっちり閉館時間まで見た。
そしてその後大急ぎでお土産大会で、弟の馬鹿みたいなリクエストにより、持ってたパソコン含めて10kg近い大荷物に。リュックが重すぎて両手が痺れてくるという貴重な体験をした。なんで俺がケバブで節制してるのにお前が高いワインを飲むんだよ!まったく。
へとへとになって宿に着き、最後ぐらい何か食べるか、と向かった世界のM澤君お薦めのビストロに行き、一人寂しく鴨のコンフィってやつを堪能してたら、突然隣から猫の手が伸びてきた!どうやら闖入者らしく、隣のカップルと一緒に驚きつつも可愛がってたら鴨の骨をしゃぶりはじめて、綺麗にお召し上がりになられた。食べたらどこかへ行ってしまったけど、おかげでいい思い出になりましたよ。

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最後ぐらいパリっぽい写真を。セーヌ川じゃなくてサン・マルタン運河。あんまりいい匂いはしない。

5/4 シネマテーク・フランセーズの小津

日本人としては理解し難いが、日曜日は店という店がほとんど閉まり、洋服店・レストラン・スーパーに至るまで徹底的に閉まっている。やっているのは観光客が集まる一帯と非キリスト教のケバブ屋や中華ぐらいのもので、それもやっているところは少ない。図書館も閉まってしまうので(働いてる人はいつ図書館に行くんだよ)、今日は特にやることがないのである。おみやげすら買うことができない。
午前中は前回途中でカメラの電池が切れてしまった科学技術博物館へ写真を撮りがてら確認をしに行く。アストロラーベや初期の針時計、科学的実験道具などを傍目に見ながら通り過ぎる。プログラマーとしてはやはりパンチカードのジャカード織機の本物が見れたことが大きい。そして産業革命の機械や工場模型が見られるのもヨーロッパならではだ(これはイギリスの博物館の方が当然凄いだろうが)。この博物館の問題があるとすれば、印刷の展示がぞんざいな点である。それはこの博物館の問題というよりはパリに印刷博物館がないという問題で、パリだって印刷の街だったのだからあって然るべきなのに無いのはやはりおかしい。リヨンまで行かないと貴重なものは見られない様子。ちなみにリヨンは2、3回行っているのに印刷博物館には行けていない。
一旦宿に帰って別の宿に荷物を運び、チェックインして夕方シネマテーク・フランセーズに出かける。アンリ・ラングロワの生誕100周年記念の展示・イベントがやっているのは知っていたが、今日ホームページを見たら小津の全作上映がやっているではないか!全く知らんかった。上映素材は基本的にフィルム。これは行かずにいられるか、と17時から3本続けてみる(正確には4本)。見たのは
・大学は出たけれど(1929。現存するフィルムから再構成した12分)+落第はしたけれど(1930)
・麦秋(1951)
・青春放課後(1963。小津+里見脚本によるTVドラマ)
どれも素晴らしく、コメディ部分はフランス人にも馬鹿ウケしていたが、初めてフィルムで見られた『麦秋』がもう凄くて泣いた。DVDで何回も見てるのに何一つ画面を憶えちゃいないのだ。冒頭の犬から最後の麦まで驚きの連続と張り巡らされたさりげない言葉と画面の連鎖。文学ではなく全く映画そのものの語り方なのに、文学性や詩性を感じる。大瀧詠一が「みんなメロディーにしか興味ないんだよ。だから僕はやめちゃった。」などと冗談まじりに言っていたが、小津を見ていると「ストーリー」なんてどこにもなくて、画面と語りそのもの(だけ)で詩を作り出している気がする。しかもそれが「映画による騙し」をわざと強調するように作ってあるから奇妙と言えば奇妙なのだろう。
『青春放課後』は近親相姦の臭いをプンプンさせながら進むきわどい話。小津から画面を引いたらこうなるのかと思ってみてたけれど、さすがの脚本でぐいぐい引き込まれた。若い頃のおっかさん(小林千登勢)、かわいかったのねえ。

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『浮草』も見たかったなあ…….。

5/3 引き続き地下に潜る

昨日に引き続き、一日BnF新館で調べもの。まだ途中なので仔細については差し控えるが、知らなかったことがつながっていくことで発見すること多数。さすがに200年前のことだし誰かが書いていることだと思うが、私にとっては重要な発見だったりする。知りたいことの中心はそれぞれの人の中にしかないので、それが仮に一般的常識であっても重要なことなのだ。何かに書く場合は先行研究を押さえないといけないけれども。
それにしてもBnFの合理化には恐れ入るが、それ以上に文献へのアクセシビリティについても見習うべき物を感じる。試しにオンラインの総目録で「プランタン」と打ってみれば、プランタン印刷所の本がそこにリストされ、もちろん閉架図書であるが「予約」ボタンをクリックすると40分後に手元に到着する。上の方で「これを出すのはまずい」と判断されれば拒否されるが、例えば書物の歴史を調べている最中に「本物あったりするかな」と思って検索してポチッとすれば本物が自分の手元で見れてしまうのである。逆に、本当に出てくるのか、あるいは出てきてしまったらどうしよう、私などがそれを見てしまっていいのかという思いで恐怖すら感じる。他に調べる優先事項があるのでポチッとしないが、試しに知ってる名前を検索してみると恐ろしいことになる。
来る前は仕事や環境のこともあるのでヨーロッパに数週間旅行するなんて最後かなと思っていたけれども、近いうちにまた来る意欲が湧いた。本当なら飛行機キャンセルして延泊したいところだけれど(笑)、流石に破産するので大人しく帰る。

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