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恐怖分子

恐怖分子!恐怖分子!恐怖分子!

白昼堂々、『恐怖分子』を見られる悦び。『ヤンヤン』を除くほとんどの作品が瞳の前から奪われている嘆息とともに、我々の瞳の前に再び現れたこの鮮烈なフィルムに何度も胸を撃ち抜かれることができるなんて、特権以外の何物でもない。

それにしてもタートルズは酷かったな……。亀以外、雑すぎ。「今日の晩飯は亀のスープだ」で爆笑したのだけど周りは全く笑っておらず、思わず押し殺してしまった。ああ、ファミコンのタートルズやりたい……。

あでゅー・おー・らんがーじゅ

3Dゴダール面白かった!
もちろん私は伏見の2Dではなく銀座の3Dで見たけれども(2Dで見たら何が面白いのか……)。
犬が出てくるたびに笑っちゃう。

日記

1/20
渡仏関係の作業。銀行の手続き、翻訳の依頼、等。
帰ってニコラス・レイ『生まれながらの悪女 Born to be Bad』。いやまさにタイトルそのまんまの腐れビッチっぷりだったが、そんな彼女を改心させるでもなく、魅力いっぱいに性悪女として描ききっている。思うところ色々あり、見直したいと思う。

1/21
サイトの再編等含めて今後の計画。結局、決まったのは新しいドメイン名のみ。夜半、ロバート・オルドリッチ『キッスで殺せ Kiss Me Deadly』を見る。オルドリッチが批判する小説版のマイク・ハマーがどのぐらい暴力的でファシストかわからないが、シリーズ物の主人公としては女を取っ替え引っ替えするやら、被曝するやら無茶苦茶だ。しかし冒頭のタクシー拾いの3度の繰り返しからドライブシーンの撮影、ラストの大炎上までとにかく圧倒的な映画的演出に唖然とさせられる。オルドリッチ恐るべし。

1/22
両親にとって私の食事量は高校生の時のイメージで止まっているらしく、焼肉が大量に出てくる。1/3ぐらいでいいのだけど、ついついこちらも期待に応えてしまい、食べ過ぎてしまう。明朝始発で上京なのに夜中に起きてしまって結局朝までほとんど寝ずに起きていた。おかげでチューリング本が読み進む。

1/23
始発で上京してヘルプ出向。始終、焼肉の後遺症を引きずる。
伊勢丹に活版工房が特設されてて笑う。

1/24
イメージフォーラムにてアルノー・デプレシャン新作『ジミーとジョルジュ Jimmy P.』。幻覚と頭痛に悩むインディアンの古谷一行が三上博史にカウンセリングされる話……と喩えてしまうには忍びない。一部の人にしか伝わらないだろうが、途中からデル・トロがY写真のK山さんに見えてきて困った。
そのままはしごでアップリンクにてロウ・イエ監督『二重生活』。90分以内なのに30分ぐらい余分だと思った。車に轢かれる女子大生をスローモーションで映して口からぴゅーっと血が吐かれるところは笑うところだよね?

1/25
夜、エレクトロニクス制作講座。三端子レギュレータについての講義。ついていけるレベルの話でよかった。

1/29
名古屋に帰り、紙ものの入稿、データベース変換ジョブなど。

2/7
カメラマン打ち合わせ、義妹の誕生日ケーキ購入ミッションを終え、上京しそのまま大崎l-eで「information vs. segments」。絶対時間と相対時間の2つの異なる時間が同時進行していて、どちらにチャンネルを合わせて見るかが忙しいのだけれど、つられないように演奏するのも大変だったそうな。

2/8
大崎l-eにてプログラミング講座。紙テープと鉛筆、消しゴムでチューリングマシンを体験。ほんとに機械になった気持ちになる。それにしてもチューリングの天才ぶりに今更ながら感服する。あるいはゲーデルぐらいの評価をされても良いのではないか。

日記

1/12
世の中は成人式らしいが、そんなことは関係なく伏見ミリオン座にてリチャード・リンクレイター監督『6才のボクが大人になるまで。』。感想は既に書いたが、痴話喧嘩とかボーイズトークの類に頼り切るのではなくて、もう少し映画というものを信じていいのではないか、と思う。映画と人生は違う。
帰宅してニコラス・レイ監督『女の秘密』。この撮影、美術、脚本、90分以内。1カットごとに瞠目させられ、60年以上前に人類がここまで到達していることに呆然とする。ルビッチの分身のような存在であるメルヴィン・ダグラスがここでもプレイボーイ役にハマってみせる。発砲から始まるのに誰も死なずにハッピーエンド、という優しさが滲み出る作品だった。

1/13-14
パリ行きのビザ申込要領を読み込み、外資系の銀行の口座開設を申し込み、航空券と旅行保険を取ってたら丸2日も経ってしまった。外国人が1年間滞在するということは思ったより大変だということを痛感する。
夕方出かけようと思ったらテレビで『ミスティック・リバー』が始まってしまい、最初の数分だけ、と思いながら結局通しで見てしまった。この作品のイーストウッドは原作があるとはいえ冴えに冴えまくっている。最初の男児誘拐から最後の不気味な宙吊りに至るまで「完璧」とつぶやきたくなる手際の良さだ。思えばこの人は児童誘拐に何か個人的な思い入れでもあるのだろうか。初めて見たときよりも段々凄さがわかってくる陰惨な作品。密林にて思わず原作を購入。

1/15
週末に迫ったプログラミング講座の内容が具体化しないことに焦りつつも競馬場に行く、という夢を見るが、一向にメインスタンドに辿り着かず、途中犬や犬人間(H. R. ギーガー風)だらけの道を通らなければならず断念するという悪夢だった。実家に帰ってからこのかた、夢の登場人物が旧友や名古屋在住の人たちが多く、先日はF岡女史の家をみんなで掃除する夢を見た。住んでいる場所によって意識の中にある人物の重み付けが推移するのだろう。妙な郷愁がある。
ビザのための動機書を書き始めるが全く進まない。大して文例も無い。どうしたものか。ひたすらメールを返していたら日が暮れた。

1/16-17
上京し、打ち合わせ、散髪などを済ませながら、終日プログラミング講座のことを考える。今年は自分のことで精一杯で卒制展に行けそうにない。講座とかぶっちゃったからしょうがない。

1/18
昼間、旧友の韓国女子2人と再会。
そのまま大崎のDAISOにて興奮しながら材料を買い込み、プログラミング講座へ。新シリーズ「プログラミング言語をつくろう」として、トランプ、サイコロ、ヒエログリフ、カラーモール、カラーチェーン、おはじき、ビニールひものどれかを使って計算可能な言語をつくる、という実験を行った。ここのところ、難解プログラミング言語やヒルベルトの「点、線、面を『テーブル、椅子、ビールコップ』と置き換えても幾何学が成立する」というような発言の意味をずっと考えているのだけど、とりあえず難しいことをすっとばして作ってもらった言語は、どれも最高だったなあ。次なる課題が見えた。思えばこの疑問はソシュールの言語記号学やノイラートの研究の頃からつながっているのだなあ。
どうでもいいが、DAISOって「ダイソー(→)」じゃなくて「ザ・ダイ(↑)ソー(↓)」なのね。

1/19
名古屋に戻る。移動中というのは考えを整理するのにちょうどいい。

6才のボクがなんとかかんとか

伏見にて『6才のボクが、大人になるまで。』。柳沢慎吾(父)と黒沢かずこカットのクリストフ・ヴァルツ(母)の間に生まれた染谷将太が、度重なる母の離婚・再婚を通じてスティーブ・ブシェミそっくりになるまでの物語。12年間に渡り同じキャストで撮影された割に大して何も起きない二時間半。時代は「SEKAI NO OWARI」対「NANIGE NAI NICHIJO」なのか。時代を象徴するヒット曲がちょいちょいフンイキ音楽として差し込まれて、耳を塞ぎたくなった。

日記 年末年始

12/21
l-eにてエレクトロニクス講座発表会。何の分節もない曲をやりたいという妄想から白いカードだけのトランプをやりたいと思い立ち、そこから色々と転々として、白と黒のカード、および論理カードを作ることになった。うまく説明できなかったが、出目次第で推論っぽくなるときもあればならないときもある、ということを許容するのがミソなんだろうな、と思う。作っているプロセスが一番エキサイティングなんだがそれが伝わらないのも問題だった。反省はさておき、久しぶりに制作が楽しかった。

12/24
引っ越しにつき、東京から運び出しの作業。初めて体験するプロ業者の引っ越しは怒涛の勢いで、家主は居場所なく家の片隅で細々と片付けをする。梱包が間に合っておらず迷惑をかけ恐縮。終電で実家に帰るが、運び込む予定の部屋に元から置かれている物の多さに愕然とする。こんなスペースに入るわけない。

12/25
昼に業者が到着し、搬入が始まる。私は突っ立って指示を出すのみ。家具の組み立てまでやってくれて、これであの値段は安い。1、2万をケチって自分たちだけでやるより断然良い。しかし部屋がテトリスならゲームオーバー寸前の状態になり、一個一個梱包を開けて本を本棚に突っ込んで行かないと奥の冷蔵庫や食器棚に辿り着かない。先は遠し。

12/26
転入の手続きをしに最寄りの区役所へ。小さい頃から変わっていない古いビルで、東京にいた時の役所と比べると少し唖然とする。転居受付を済ませた後、年金、国保、住民票発行とたらい回しにされる。これ、一発申請でできないんでっしゃろか。その後向かいの警察署に行くと、これまた「はぐれ刑事純情派」ばりの古くてこじんまりとしたいかにもな建物。今にもぼんちおさむと岡本麗が歩いてきそうだ。
夜、親が見てた日本のテレビドラマが異常に酷かった(沢尻が出てるアパレル業界のやつ)ので、勢いでHuluの二週間無料会員になり、フィンチャーが製作総指揮・監督で関わってるアメリカのテレビドラマ『ハウス・オブ・カード』を見始める。フィンチャー作品っていつも高度に知的で戦略的な人物が出てきてその手際の良さと冷徹さに引き込まれていたら、「えっ、そんなことで?」といういとも簡単なことでボロを出してしまう。その瞬間に白けてしまうことが多いが、今回もその例に漏れず。いやまあ楽しんで見ているのだけれど。

12/27
部屋の片付けを進めた後、家から徒歩15分のところにある小屋にてホン・サンス『自由が丘で』を見る。面白いが、これで満足してはいけないような気がする。

12/28
入稿データを送り、仕事納め。その後栄に行って、Apple TVを買うか迷うがやめる。

12/29
夕方まで子守業務をし、その後栄に行って、Apple TVを買うか迷うがやめる。

12/30
夕方まで子守業務をし、その後栄に行って、Apple TVを買うか迷うがやめる。いい加減頭が腐りそうだ。夜半、はっぴいえんどの「風街」ドキュメンタリーを見る。

12/31
一日中、子守業務。三重より祖母・叔父来る。今年は蕎麦屋で全く働かなかったので年末感無し。エンドレスでアンパンマンとムーミンを見ているうちに年が暮れた。

1/1
昼ごろ起き出し、録画されていた「紅白」を親と一緒にほとんど通しで見てしまった。紅白が人気がなくなったのって、単純にNHKの演出が白けるからじゃなかろうか。その後ダイエットがてらどこもやっていない栄まで徒歩で往復する。夜半、年末に父親が買っていた(!)『はっぴいえんど・マスターピース』を聞く。「ゆでめん」と「風街」のCDとLPのセットだが、LPはプレイヤーが壊れていたらしく、断念。それでもCDは痺れる音だった。

1/2
朝から近鉄に乗り三重の祖母宅へ。駅伝見ながらすき焼きするいつものコース。

1/3
旧友と名古屋競馬へ。今年がラストラン(我々が)なのだが、珍しく勝った。夕方から風邪気味で早めに寝る。

愛するムシェットどこへ行く

渡仏に向けて本格的に金が無く、DVDを売ったら結構な金になるらしいので、ボックスで買ったまま未見だった作品を見ている。

ブレッソン『バルタザールどこへ行く au hasard Balthazar』
つながるかつながらないかギリギリのところを攻めていて刺激的。ロバとライオン、ロバとゾウの切り返しに思わず微笑まざるを得ない。子供の腕が映るだけでエロくなるブレッソン。

ブレッソン『少女ムシェット Mouchette』
3度斜面を転がるところを律儀に3度同じカット割りで撮るところが素晴らしい。レイプされたから死んだ、という単純さに帰結させない良心。

サーク『愛する時と死する時 A Time to Love and a Time to Die』
超大作!映画史にダグラス・サークを持つことの幸福。

『ゴーン・ガール』

デヴィッド・フィンチャーを憎めない程度には私は商業的な人間のようで、いかに『ベンジャミン・バトン』や『ドラゴン・タトゥーの女』がスッカスカで失笑しそうになっても、サスペンスになるとそれなりにハラハラしてしまうので嫌いにはなれない。『ゾディアック』は大好きだし、『セブン』もこれ見よがしだがそんなに嫌いじゃない。『ソーシャル・ネットワーク』もまあ、それなりに好きだ(多分ジェシー君が。)。今日たまたま都心に出たら「先行上映」と銘打たれてやっていた『ゴーン・ガール』も何度か「ダサっ」って呟きかけたが(粉砂糖はないだろ、粉砂糖は。あと冒頭のバーでの回想シーンの入り方)、これは『ゾディアック』に次ぐぐらいの快作ではないか。超・不安要素だったロザムンド・パイク(だって『アウトロー』がさ……)が四つん這いで歩き回る姿は中々に感心したし、最近の脇が甘すぎる映画の殺人者たちに対する鬱憤を忘れさせてくれる爽快な手際の良さには目を見張るものがあった。これであとはちゃんと終わり方で唸らせてくれれば良いんだがなあ。音楽とか、猫の使い方とか、惜しい点を挙げればキリがないけど、警察署、殺風景な現代インテリアの家、地下室、監視カメラ、謎かけ、おネエちゃんなどフィンチャー要素三昧で2時間半楽しめた。

最近見たもの:
・大森立嗣『まほろ駅前狂騒曲』
・サーク『自由の旗風』(DVD)
・サーク『悲しみは空の彼方に』(DVD)
・ルビッチ『生きるべきか死ぬべきか』(DVD)
・ファスビンダー『悪魔のやから』(DVD)

世界は私にジョン・フォードの『香も高きケンタッキー』を見せないつもりらしい。といっても自分が入れた予定にもろかぶりだっただけなので誰のせいでもないのだけれど。蓮實氏の時限爆弾がついに炸裂したかのようにフィルムセンターは超満員だったそうだ。『香も高き』どころか『静かなる男』と『駅馬車』のリマスターさえ見に行けていないのは私の不徳の致すところなのだが。
私はいったい毎日何をやっているのやら。