8/26 バーゼル大学薬学博物館、バイエラー財団、ヴィトラ・デザイン・ミュージアム

バーゼルの美術館巡り2日目。今日はバーゼル大学薬学博物館(Pharmazie-Historisches Museum)。天井から吊り下げられたワニ、カメ、象牙、ホルマリン漬けのタランチュラやらまじない・魔除けの類が集められたヴンダーカマー・チックな博物館。とにかく怪しい。錬金術士の実験室、薬局の再現など。近くに解剖博物館があってセット券で無料で入れるのだが、生々しいのがどうも苦手なことに気がついたので私はパスする。ちなみにこの建物はもともと浴場だったがバーゼルの印刷工ヨハン・アメルバッハ(Johann Amerbach)とヨハン・フローベン(Johann Froben)による印刷所があったとのこと。泉の音だけが響く静かな場所。

移動してバイエラー財団(Foncation Beyeler)の美術館へ。建物はレンゾ・ピアノ設計のシンプルなホワイトキューブだが、照明は自然光中心でやわらかい。外壁は赤い斑岩とのこと。人工池は掃除中であった。企画展はオランダ出身で時事的な写真やイメージを元に絵を描くマルレーネ・デュマス(Marlene Dumas)の特集。初めて見るのだが、後で経歴見るまでアメリカ人だと思っていた。観る前はアルプとか展示しなさいよ、と思っていたが、空間の贅沢さも相まって良い展示だった。なんでフィル・スペクターを描いたんだ。他にもモンドリアンの初期の抽象作品、そのモンドリアンを訪問した直後のカルダーが描いたペインティングとモジュール、モネの睡蓮、ロダン、ピカソなどあったが、一番印象に残ったのはアンリ・ルソー『飢えたライオン(Le lion ayant faim se jette sur l’antilope)』。あまりにも現代的で時空が歪む思い。

そのままバスでドイツへの国境を越えてヴィトラ・デザイン・ミュージアムへ。バスが高い以外はコントロール無し。工場やミュージアムはあまり興味を引かない客寄せパンダ的な建築群で、中身もほとんどただのショールームで少しがっかりした。作ってるモノの良し悪しはわからないけれども、イームズ、プルーヴェの精神とこの建築やディスプレイのあり方は全く違うと思う。

帰りにドイツ国内で食料品を買い込み(安いから)、フランス滞在許可証の手続きのために1日だけパリに帰る妻を見送って、部屋でパスタを作って食べ、酔っ払って寝る。