12/13

朝からマルシェ。今日の珍品はradis japonais。全然ジャポネじゃない。そのままButte aux Caillesを散歩して、フォー食べて帰る。なかなか良いコースだ。こんなところにアジェ通りが(というかアジェ階段が)。

夕方シネマテークに繰り出して、ジャック・タチ『ぼくの伯父さん Mon Oncle』とホウ・シャオシェン『ミレニアム・マンボ/千禧曼波』を。タチは残念ながらDCP上映だったけど、久しぶりに声を出して爆笑した。今までタチを見る縁ががなかったのだけど、友人が上映があることを教えてくれてとてもラッキーだった。そして日本には小津がいて、クレイジーやドリフがいて、素晴らしいコメディ文化があることを誇りに思う。新年早々2日から『お早よう』をやるらしく、それで年明け祝うのも粋ではないか。会場にはタチのドローイングも飾られていた。
『ミレニアム・マンボ』はDVDで見て以来。ほとんどラストシーンしか覚えてないからこんな90%嫌な話だっけ、と思いながら見たけど、それがあって初めて夕張の雪があんなに素晴らしく見えるのである。そしてカラスが飛び立つ奇跡。まったく魔術師というか、詐欺師というか。このころからホウさん怖いもんなしになっていくよね。

図書館行って映画見て建築散歩して、これが私のパリ体験だと思い出す。

12/6-12

12/6(日)
頭から肩が異様に重たい中がんばって起きてマルシェ。我ながら食い意地には従順。黒大根、パセリの根など買ってみる。
昼からロダン美術館に行く。コンコルドからメトロを出て少し歩こうと思ったらシャンゼリゼ通りがノエルのマルシェになっている。チュイルリーの先に仮設観覧車を置くだけでも犯罪的だが、少し冷やかしてみたらこれが驚くほど酷く、ノエルのお店なんてほんの少しで、後はそれにかこつけたただのお土産屋。それにりんご飴や焼きソーセージなどの売店。パリ市の催し事の愚かさは想像の域を超える。
それでロダン美術館に着いたら、無料開館日のため長蛇の列。すぐに諦めて隣のアンヴァリッドを冷やかす。広場に着いたら偶然催し事が始まり、馬、投石機、大砲の実演が見られた。もちろん水風船を投げたり大砲の音がスピーカーから流されたりするだけだが。
夜、ここのところの疲労が酷く、海外生活に疲れていたのかすぐに外が暗くなるため季節的な辛さなのかわからないが、財布を気にせずストレス解消することにする。朝買ったヨーロッパヘダイの塩焼きと黒大根おろし、平茸っぽいきのこの炊き込みご飯、それに紫色のカブの味噌汁。全てがまがい物だがうまい。それにボン・マルシェで買ったワインとイベリコ豚のサラミ。大分楽になった。そんなことで楽になるのだから単純なやつだ。

12/7(月)
図書館で作業。捗らず。

12/8(火)
フラ語。先日『18:39』の作者に会ったことなど話す。『バートン・フィンク』はユダヤ人の歴史を知っていると笑えるらしい。
夜、またT家にお邪魔して年忘れの宴。楽しかった。
帰ってフライシャー『海底二万里』見始めるが寝落ち。

12/9(水)
図書館で作業。思いつくことあり、帰りに本屋でフランス語の語源辞典、表現辞典を買う。
夜、小津『淑女は何を忘れたか』見る。いい。日本酒飲みたい。

12/10(木)
妻が風邪。
フラ語。映画における歴史的事実の考え方について議論が始まったので、ファスビンダーの『ベルリン・アレクサンダー広場』のことなど話す。オーストリアの友人Jに「え、日本で見たの!?凄い。」と驚かれる。ケツが痛かったよ、と答える。

12/11(金)
図書館で作業。隣の人が何もないのに「くそっ!」とかため息をついたり本を勢い良く置いたりするので、ちょっと不安定な人なのかなと思っていたら、声をかけられて「君、病気なの?」と言われる。それはお前だ。
夕方、Kさんに会う。帰って小津『戸田家の兄妹』見る。小津映画においては記念撮影をしたから家族が離散するのである、というやつ。もはや画面の作り込みも省略の大胆さも完成してる。佐分利信が初めて格好良く見えた。
夜、Oさんちで茶飲話。

12/12(土)
図書館で作業。
数日、食事係。
夜、小津『父ありき』。2度現れる釣りのシーン、泣ける。

11/29-12/5

11/29(日)
午前中、マルシェ。
夜、『M:i-III』。全く打ちのめされることのないJJA映画を「面白い」と表現していいかどうかはわからないが、トム様活劇としてやっぱり見入ってしまう。初見と同じく、フィリップ・シーモア・ホフマンがあまり活かされていないと思う。誰でもいいのでは。

11/30(月)
図書館地図部門にて作業。パリ地図の続き。今日も一人。
ファスビンダー『デスペア』。いつものファス組のドイツ人俳優の中にダーク・ボガードを放り込んで、英語劇。似ても似つかない赤の他人をそっくりだと思い込んで替え玉自殺しようとするチョコレート会社社長の錯乱模様を鏡だらけの部屋で演出。スイスの宿屋に警察が踏み込むところが途端に映画らしい。
その後トニー・スコット『トップガン』で不意に号泣。でもトム様はなんですぐ現役引退して教官になっちゃうの?

12/1(火)
風邪かアレルギーかわからないが喉が痛い。
しかし寝るほどでもないのでフランス語に行き、後は深夜まで仕事。

12/2(水)
風邪気味続く。30を超えてから風邪もしゃっきりしない。引くなら引けよ、という感じ。午前中から図書館にてパリ地図の続き。夜、『M:i ゴースト・プロトコル』。レア・セドゥーもっと出せ。

12/3(木)
昼、フランス語。夕方、チュリルリー庭園まで散歩。落葉しているとル・ノートルもなんだかわからない。
夜、私がこの世で最も影響を受けたであろう作品のひとつである『18h39(18:39)』の作者達に会いに行く。素晴らしい人たちであった。

12/4(金)
図書館にて仕事および大学に出す滞在記を書く。
夜、トニー・スコット初長編監督作『ハンガー』。全く違う場所で同時に起こっていることを次々につなぎ合わせる彼の編集的野心がよく見える。そのままジョエル・コーエン『バートン・フィンク』。そのまま変な人ばかりに囲まれる映画としてやりつづければよかったのに(でもそれに頼りきるほど変だとも思わない)、途中で殺人とか戦争とか持ち出してきてそれに対した説得力もなく、怖くもないし面白くもない。私には食えない。

12/5(土)
図書館にて少し作業。
大学に出す滞在記を書き上げる。