2018年2月1日

次回の連載の初稿を書き終わったのでサミュエル・フラーの『ストリート・オブ・ノー・リターン』を見に行った。最晩年にフランス=ポルトガル資本で撮られたとのことだが、始まってみればフランス語吹き替えだった…。告知には何も書いてなかったけどフランス語版オリジナルというのが存在するのか?そのせいもあるだろうがもうほとんどファスビンダー映画みたいなブリコラージュぶりで笑ってしまう。しかし暗闇で煙草の煙をくゆらせたり、時折ものすごいアングルから撮ったり、キメるところはやはりキメる。あの濡れ場の後に鏡に囲まれた部屋でほとんど何が起きているのかわからないぐらいぐるぐるカメラが回り、女が非常に醜くパンツを履いて見せるところは一体何だったんだ…。霧の中立ち尽くす絶望の淵にあるロックスターの男(誰かに似ていると思っていたのだが往時の清水◯キラか…)の前にTバッグ一丁の女が馬に乗って現れ、その馬が音楽に合わせたようにステップを踏むところではもう唖然とするしかなかった。『最前線物語』と同じ監督とは思えない。
ところで全く告知されてなかったが上映前に監督の娘が出てきて挨拶していた。全然知らなかったので「お父さん」って誰だよまさかサミュエルって名前じゃないよなと思って聞いていたが、どうやらそうらしい。会場には撮影に関わった人がちらほら来ていたようで、たまにこういう同窓会みたいなのに出くわす。何というか強烈なキャラの娘だったな…。