11/18-12/10

久しぶりに辞書片手に(実際はスマホ片手に)英語の文献に取り組む。書き物はやっぱり鉛筆と紙がやりやすい。幼少期、若干狂った私塾の先生の薦めにより三菱鉛筆の Hi-Uni でしか勉強してこなかった私はステッドラーじゃ全くしっくりこないのだけれど、この国にはそれしかないので甘んずるほかなし。それから来年度の計画の下準備もしなくてはならず、相変わらずこういうことを段取り良くやるのが苦手だとつくづく思いながら、ウンウン頭を捻って言葉を絞り出す。しかし思いついた主題は今までにないぐらい楽しいので(というか海外まで来てやりたくないことをやりたくないし)、国立図書館に通ってやや暴走気味に調査に耽る。その後、某図書館のコレクション担当者の方々と海外で初の形式的「打ち合わせ」。なんとか仏語で切り抜けられたが、計画を絞り込むつもりが逆に爆発するはめに。アリババの洞窟の呪文はわかったが、中が巨大すぎて何を選んだらいいかわからず。やり取りを続けながら明確にすることに。しかしこの国の図書館員の方々はあくまで教養高く、各コレクションとその裏側にある歴史についても精通していて、こちらが何か名前を出すとかならず返事が返ってきて、頭が下がる。
合間に友人の展示3本。ゼメキス『Alliés』は予想通りの大惨事だったが、顔面の全然動かないBPを横にするとあのMCさえまだ人間に見えるという成果が得られた。あらゆる点でシラけきったが、BPに(明らかな吹き替えで)フランス語を話させて、その訛りをMCが「ケベック人さん」と揶揄する(ケベックではフランス語由来のケベック語を話す)、というのが重要な台詞になっているのだが、これがまたフランスで見ると一層シラける。それを見たことを友人Bに伝えると「お前はなんてマゾヒストなんだ」と言われる。
大気汚染により4日間公共交通が無料に。「薪暖房のせい」とか書かれているが、パリではそもそも禁止だし、そんなもののせいじゃないことは誰の目にも明らか。セーヌ河畔の車道の歩道化とか、古い車の入市規制、ナンバーの偶数奇数で入市規制とか、表層的なエコ政策のおかげで実態はより悪くなっている。体感的にはオリンピック直前の北京より酷く、昼間でも100m先は真っ黄色。最近導入されたハイブリッド型のバスのデザインも酷くて、安い便座カバーを貼ったトイレみたいな座席、すれ違えないほど狭い通路、収容所に送られる列車のように鮨詰めにされる立ちスペース、そしてひどいサスペンション。もともとのバスも酷いけれど(特にメルセデスとMAN)、もう呆れて半笑いになるほど。何がCOP21だ。