1/8

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どうも腰痛治らず。ここ数日行っていたカフェのソファがよくなかったらしい。ベッドが悪いのは言わずもがな。これは長期戦になりそう。
手紙、日誌、読書で費やす。チェーンのカフェにいると車椅子の女性を連れたアラブ系の人たちがその辺の机をつなげてワイワイ話し始める。こういうところが寛容なのが素晴らしい。しかし耳が飽和して全く本を読み進まなくなってしまったので退散する。
帰り、ミッテラン図書館駅の本屋でブヴィエの原語版を見つける。昔のバージョンが欲しかったが新しいのしかなく、渋々。日本語版だとカタカナ語で書かれたフランス語の名詞がわからないのと同じく、やはり動詞や名詞の背後にあるいろいろな含意が消えてしまうので、たまに原語を参照したくなる箇所がある。もちろんブヴィエのフランス語はかなり難しいので辞書を引きまくることになるのだが。他にプレヴェールの詩を買う。これならなんとか楽しめそう。日本の本屋と違うのは新品の本がバンバン割引されて売っていること。単に版が古いか、訳あり品なのだがほとんど何の問題があるか全くわからないものも売られていて、消費者にとってはありがたい。流通の仕組みが全く違うのだろう。日本では考えられない。
夜は久しぶりに中華を持ち帰りして(近所の店が高いのだ)、ベッドで本を読んでいたら撃沈した。

1/5-1/7

1/5(火)
二週間ぶりのフラ語。アイルランドのGが数ヶ月ぶりに戻ってきて、終始幸せな雰囲気の中、正月話に花を咲かせる。日本人は何でも酢を入れて胃に穴が開くのか怖くないのか、と言われる。確かに酢飯、〆鯖、紅白なます、と全部酢を入れた料理ばかり作っていた。

1/6(水)
日本から帰ってきたO女史に、実家からの荷物と念願のニコラ・ブヴィエの本の日本語版を受け取る。夜、おなじみT家に新年のご挨拶。朝、「ピュレ用の芋をくれ」といったら出てきた巨大な芋の潰しやすさに目を見張る。

1/7(木)
フラ語。生徒が20人近くいて、ほぼ話さずに終わる。授業後、カフェに行ったら先生がいて、オーストラリアの手塚治虫研究家の方(元生徒)と喋っていた。今度講座に来るとのことで、その時ゆっくり話したい。
夜、ドイツの友人Aとスイスの友人Cと近所に食事に行き、帰ってうちで夜中まで飲む。こちらの人たちは映画の話も写真の話も音楽の話も本の話もできるのが嬉しい。ドイツ語には「彼女も水から料理する=彼女もまた普通の人だ」というような表現があるそう。表現には文化が見え隠れして面白い。

1/4 Le déjeuner sur l’herbe

1/4(月)
昼、シネマテークでルノワール『草の上の昼食 Le déjeuner sur l’herbe』(1959)。タイトルからしてマネらの絵画を連想させつつ、羊飼いが笛を吹いただけでミストラルがやってきて、あちこちで恋が始まってしまうという神話的コメディ。カメラも驚くほど動き回るし、カラー撮影も非常に生き生きとしていて、十分に現代的。素直に面白くて、開かれているのに、美しい。あと、やはりプロヴァンス訛りを聞くと、僕の昔のフラ語の先生は南仏訛りだったのだなあと思う。
BnF新館近くのカフェで勉強し、一度帰ってから久しぶりに外食するが頼んだものがハズレで、不完全燃焼。
夜、iTunesのレンタル期限が迫っていたので小津『晩春(デジタル修復版)』を見る。デジタル修復されてディテールがよく見えるようになっていたのだが、どうもそういう見方でこれを見たことがなかったので、調子が狂う。あとやはりある種の解釈が介在することで、生の映画を見ているのとは違う感じがする。『お早よう』は割と大丈夫だったのだが。ただ、原節子の花嫁衣装がとてもよく見えたのは良かった。またフィルムで見たいものである。

12/31-1/3 年越し

12/31(木)
昼飯食って図書館に行くが、15時に閉めると言われ、2、3時間で追い出される。そのまま日本食材屋と百貨店をはしごして、帰って飲む。しかし紅白でも無いとイマイチ年末感が出ないので、適当に YouTube で懐メロをかけたり、何年も前の『ゆく年くる年』見たり。年越しの瞬間は近所の教会の鐘の音が聞こえたと思ったらキャーーフゥーーと歓声が湧いた。

1/1(金)
朝から雑煮を食べて、静かだし散歩でもするかと教会廻りをする。しかしノートルダムに近くなるにつれて人がどんどん増えていき、教会の前には異常な列。フランス語が全く聞こえないので外国人客なのだろう。どうやら正月シーズンのパリは混むらしい。サクレ・クールも行こうかと思っていたがやめて他のマイナーな教会を廻り、ルノートルのケーキを買って帰り、帰って宴。やはり日本のテレビは見れないようなので、フランスのネット放送のニューイヤーコンサートを見る。まあこれでも見られれば上出来か。終了後、iTunesでトニー・スコット『トゥルー・ロマンス』見て笑う。

1/2(土)
餅を食べ、モンマルトルで読書。もう街は通常営業だが、今年は2、3日と土・日が続くので多少は日本の正月に近いか。
夜、二人でシネマテークに小津『お早よう』を見にいく。正月からこれをかけるとは非常に良い心がけである。割とギリギリに行ったらもう端の席しか空いておらず、立ち見まで出る始末。それで始まったはいいけれど、字幕が出ず、お客が抗議に行ってもう一回。しかしまた字幕が出ず、また抗議に行ってもう一回。3度もやり直すのは初めて見た。3度目、ようやく「お早よう」のタイトルの下に「Bonjour」と出た時は拍手喝采。暖かいというかなんというか。もちろんよく笑いました。

1/3(日)
雨。昼から国立図書館新館のほうに行ってルドゥー本読む。
夜、もはや冷蔵庫に正月らしいものは残っておらず、いつもと大して変わりない食事。やはりもっと予算をかけないとだめなのだろう。尻すぼみの正月に終わった。