8/24 バーゼルへ

今回の滞在で、本当ならチューリヒ芸術工科大学のアーカイブを訪ねようと思っていたのだが、2週間前にはコンタクトしなければならず、下調べの時間も取れなかったので諦める。他にも同大学のグラフィックギャラリーなどもあり、チューリヒで見られなかった物は多い。後ろ髪引かれなくはないが、とりあえず今回はスイス自体未知数であったし、特別な場所にも連れて行ってもらったのでこれでよかったのではないだろうか。

部屋をチェックアウトし、Mにお別れを言いに行こうと思うが電話がつながらない。昨日、孫と一緒にいるけどどこにいるかわからない、と言っていたのでひょっとして孫と一緒に寝てしまったのではないかと思い、他に手段もないのでとりあえずMの家の前まで行ってみるが、ドアコードがないと建物に入れないことを忘れていて、入れず。家の下でもう一度電話してみるがつながらず、あきらめてバーゼルに移動しようかと思ったらトラムの駅前で着信あり。買い物しにセントラルまで来てると言う。最後にお茶でも、ということになりセントラルで落ち合い、Mの孫のM君(Mの周りはみんなイニシャルがMで、しかも子音は全て一緒、という多分ある種の冗談なのだろうが、彼は子供向け麦芽飲料の名前である)と4人でお茶。スイスの子供達はテレビなんか見ずに遊んでいるそうで、健康的でよろしい。日本の子供達はパンの頭をしたヒーローが子供達に自分の顔をあげて弱ってしまうアニメを見てるんだよ、と教える。こっちで言うならツォップ(国民的パン)・マンみたいな感じだよ、と言うとなんだか興味を持ったような顔をしていた。将来は海賊になりたいとのことだが、湖しかないこの国では難しい夢である。

Mとお別れしてバーゼルに移動。言わずもがな、交通費は高い。バーゼルまでは小一時間で、喋っていたら着くような距離だが、車中隣の席のスイスのご婦人に日本語で話しかけられてびっくりする。なんでも旦那さんが日本人で数年間福島にいたそうで、今はバーゼル近郊の町に住んでいるそう。スイストラベルパスでアルプスに行くことを伝えると、ユングフラウヨッホは高いからミューレンにしたほうがいいですよ、私はよく散歩するんです、と穴場情報を教えてくれた。財布のことで頭が痛かった私にはとてもありがたい。ホテルの場所を聞かれたので伝えると、トラムの乗り場まで案内してくれた上になんとチケット代まで出してもらってしまい、「日本では親切な方々にお世話になったからそのお返し」と言ってくれて非常に恐縮する。すぐにトラムが来てしまったためお名前も聞かずにお別れしてしまったこと心残りだが、この場を借りて感謝したい。

中央駅から数駅のアパートホテルで再びコードを打ち込んでICチップ付きの電子キーを手にいれ、雨の降る中、部屋で作業などする。この旅最大の懸念事項だったWebの納品日だったため、20時近くまで格闘する。スイスのネットが快適で非常に助かった。夜はまたCOOPで買った野菜でサラダ。ケバブ屋の物価を見たところ観光地は駅の逆側なので少しは安そうである。ビッグマック指数ならぬケバブ指数で世界の経済は測れるのではないか。

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