4月2日 名古屋からパリへ。

4月2日早朝、名古屋からソウル経由でパリに向かう。ソウル仁川空港では奥さんとの記念撮影を頼まれたきっかけで韓国のおじさんと日本語での会話となったが、終始安倍ちゃんと右傾化ジャパンの批判を聞かされて、それには激しく同意するんだが「そうですね」以外になんとも答えようがなく、返答に困った。韓国ではみんな安倍ちゃん見ながら笑ってるとのこと。

ナッツでリターンした大韓航空だが、機種が新しいのか座席に付いてる諸々のシステムは凄くしっかりしていて、全く不便を感じなかった。パンが不味いのはなんともならんが、途中で出たピビンパはちょっと感動するぐらいうまかった。ただ単に飛行機で米とごま油とコチュジャンの和え物が食べられると思っていなかっただけなのだが、密かに興奮する日本人がここにあり。わかめスープも付いていて、毎食これでいいよ、と思う。

システムが凄いからといって、これといって見たい映画があるわけではなく、唯一PTAによるピンチョン映画化『インヒアレント・ヴァイス』が入っていたがこれは映画館で見るしかないと思っていたのでスルーし、『ベイマックス』『セッション』『るろうに剣心:伝説の最期編』の3本を見た。『ベイマックス』はストーリーこそありがちなものだが(身内がマッド化して大ボスにというのは少なくとも最近で『ウルヴァリン侍』『タートルズ』で見たぞ)、ぷよぷよロボットの質感をセリフなしでゆっくりと見せて笑いにつなげるところには感心した。映画館で予告を見ていた『セッション』はとても変な映画だった。青春時代にハマっていた『るろ剣』は、美術や殺陣など新しいことをやろうとしているなと感心したものの、いちいち「うぁあ」とか「うぉお」とか叫んで五月蝿いなと思ったのと、演出を誤魔化すためかもしれないが壮大な音楽を無意味に流すのは勘弁してほしかった。お前はダークナイトか。個人的には原作最大のクライマックスは最後の志々雄との戦いよりも奥義伝授のシーンだと思うのだが(そのあとの追憶編は尻すぼみ甚だしい)、「死んでも奥義を会得して志々雄を倒したい」と懇願し、無行の位で師匠に対峙する弟子・剣心に対し、師匠・比古清十郎から「だからお前は馬鹿弟子なのだ」と言われ続け、「だったら師匠である俺がここで殺してやる」と死が迫った状況に陥ったことで「俺はまだ死ねない」という生への強い意志へと変化することが奥義の会得へと繋がった、というところがミソなのだが、そこが映画では非常に雑に描かれていて、正確には覚えていないが「死んでも斃す、死んでも斃す、俺はまだ死ねない!」と処理されるのは馬鹿かと思った。結局お前はるろ剣を理解していない。個人的に比古清十郎役の福山雅治と斎藤一役の江口洋介はよかったと思う。最後の伊藤博文による「侍たちに敬礼!」は「えっこれで映画終わらすの?」というのがみんなの顔に現れていて笑った。

思わず『るろ剣』について長々と書いてしまったが、20時頃北駅近くの宿に到着。向かいのスーパーの前で明け方4時までダンスの練習をしている黒人女子4人を恨みながら寝起きを繰り返した。

Exif_JPEG_PICTURE手前左から米、ビビンバの具、わかめスープと焼きコチュジャンです。