『ゴーン・ガール』

デヴィッド・フィンチャーを憎めない程度には私は商業的な人間のようで、いかに『ベンジャミン・バトン』や『ドラゴン・タトゥーの女』がスッカスカで失笑しそうになっても、サスペンスになるとそれなりにハラハラしてしまうので嫌いにはなれない。『ゾディアック』は大好きだし、『セブン』もこれ見よがしだがそんなに嫌いじゃない。『ソーシャル・ネットワーク』もまあ、それなりに好きだ(多分ジェシー君が。)。今日たまたま都心に出たら「先行上映」と銘打たれてやっていた『ゴーン・ガール』も何度か「ダサっ」って呟きかけたが(粉砂糖はないだろ、粉砂糖は。あと冒頭のバーでの回想シーンの入り方)、これは『ゾディアック』に次ぐぐらいの快作ではないか。超・不安要素だったロザムンド・パイク(だって『アウトロー』がさ……)が四つん這いで歩き回る姿は中々に感心したし、最近の脇が甘すぎる映画の殺人者たちに対する鬱憤を忘れさせてくれる爽快な手際の良さには目を見張るものがあった。これであとはちゃんと終わり方で唸らせてくれれば良いんだがなあ。音楽とか、猫の使い方とか、惜しい点を挙げればキリがないけど、警察署、殺風景な現代インテリアの家、地下室、監視カメラ、謎かけ、おネエちゃんなどフィンチャー要素三昧で2時間半楽しめた。

最近見たもの:
・大森立嗣『まほろ駅前狂騒曲』
・サーク『自由の旗風』(DVD)
・サーク『悲しみは空の彼方に』(DVD)
・ルビッチ『生きるべきか死ぬべきか』(DVD)
・ファスビンダー『悪魔のやから』(DVD)