罪滅ぼし(仕事)の狭間に

ご時世なこともあって『気分はもう戦争』(矢作俊彦 大友克洋)を読んだ。1話目でいきなりものすごいスピードで世界の線引きをしてしまったと思ったら、2話で今度は作者2人が登場し、「一昔前の芸術映画ふうだなァ。作者が話してる所からはじまるんだ。はやったんだよな。知らない?」とメタ漫画的な自虐をかます。戦争と世界情勢を戯画化して人が死ぬことすらギャグにするなんて凄いことしたもんだ。しかも実在の人物を使って。大友作品の中ではかなり好きな部類だなあ。

そしてようやく行けた吉祥寺バウスシアター閉館間際の最後の大祭り「ラスト・バウス」にて『キャスト・アウェイ』の爆音上映を見られた。ほんとによくできた映画だなあ。いつ終わるとも知れない波の音からようやく脱出できたと思ったら、またエンドロールで波の音が流れてきた時には悪夢かと思ったけど。フィアンセとの再会のシーンではやはり泣いてしまった。

『乱と灰色の世界 6』もようやく手に入れ、こちらも泣く。説話的な感情の高まりが、非常に丁寧かつ誠実に描かれているだけでもうダメなのに、こんな優しい戦いの終わらせ方ができるなんて思ってもみず、泣きつつもとても感心した。ジェンダーとかじゃないが、これは女性しか描けないでしょうなあ。