4/23 シュトゥットガルト

フランクフルトまで来てみてヴァイセンホーフ・ジードルンクがどうしても気になったので、延泊して日帰りで来てみた。朝着いてまだ時間があったので州立絵画館 Staatsgalerie に行ってみたが、ここも良い美術館で、ドイツの中世キリスト教美術からフランドル、オランダ、ルネッサンス、バロック、ロココなどの中近世絵画が充実している上に、印象派やドイツ分離派、バーン・ジョーンズの部屋があったり、マティスの4点ものの彫刻、ピカソの家具を使った6人の女性の彫刻。それにそこまで数は多くないものの、シュレンマーのバウハウス以前の絵画と『トリアディック・バレエ』の衣装(!)。バウハウス講師陣の中ではちょっと奇人扱いされがちだけれど、シュレンマー見直した。カンディンスキーやグロッス、ファイニンガーにシーレのリトグラフなどもあり、複雑なモダニズムの地勢図がまさにここに。
中央駅のフードコートでグリーンカレーを食べて(割とうまい)、バスでKunstacademieまで行き、ヴァイセンホーフ・ジードルンクへ。ノイラートが関わったウィーンのジードルンク運動を調べていた時に、ウィーン工作連盟が中心となったウィーンのジードルンク(労働者向けの住宅)やカール・マルクス・ホーフ、ベルリンのブルーノ・タウトのブリッツ・ジードルンクやデッサウのグロピウスの実験住宅なんかを見て回ったが、一番有名なここには来なかった。それは色々な理由があってのことなのだけれど、やはり見ておかないといけないような気がしたので今回は来ることに。
コルビュジエ設計の家がミュージアムになっていて、中を見て回れるが、なんだかコルビュジエにしては造形的要素が何も無いというか、中を見てもあまり発見は無い。住宅不足を埋めることが目的であるので安価で量産できる工法がまずありきで、そこにそれぞれの新しい近代的「生活」の思想が組み込まれるはずであるが、しかしここまで何も無いのは、この規格化された純粋な住宅モデルの提示が全てであったのだろう。そのぶん家具の設計には工夫が見られたが。コルビュジエは3回しか足を運ばなかったというが(そもそも第一次大戦後のドイツで敵国建築家を呼ぶのに様々な苦労があったらしいが)、これをどう見るかは読み込みを必要とするので何も言えないけれども。その後、J.J.P.アウト、ミース、シャウロン、スタム、ベーレンス、ヨーゼフ・フランク、ヴィクトル・ブルジョワなどを外から見て回る。ウィーンのジードルンクにも出品しているフランクは、高層化に反対し庭付き平屋に固執した人物であり、ここの住戸もその思想に違わぬものであった。ジードルンク運動には、人口が増加した都市の中で我々ひとりひとりの生活がどうあるべきかという現代に通じるテーマが強く現れているので好きなのだ。

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新しい生活