紙風船

渡仏した当日にようやく滞在先が決まる。友人宅に泊めてもらうことになっていたがフイに。直前までバタバタしていたので機内ではほとんど寝ていたが、少しだけ気になっていた『Molly’s Game』だけぼんやりと見る。ケヴィン・コスナーの生存確認。

シネマテークに見に行った山中貞雄『人情紙風船』に打ちのめされ、終わっても席を立てず。大雨の中、雨宿りをする質屋の娘を見ながら何やら良からぬことを思いつき、ギロッと変わる中村翫右衛門の目つきが、これから起こる悲劇を全て予兆する。生き生きとした町人たちの淀みない動きと聴覚に心地よい台詞回し。肝心の場面を敢えて見せない粋。空間の使い方…。一緒に行ったフランスの友人も感嘆し、「雨のシーン…!」と言っていた。いくら貧しくても心は気高くなくてはいけないという心構えをいつしか忘れてしまっていた。「しかし凄かったんだがやっぱり日本映画は(悲劇ばかりで)生きる気力を与えてはくれないな…。」とも。相すいません。日本映画特集で、他にも見たいものはあったのだが小津の『出来ごころ』だけ見て終わる。忙しくなったところでベルイマン特集とジェーン・フォンダ特集に変わって、よしよしと思っていたら、その後ルノワール特集が始まるとのこと。

10+1

「形象化された世界──《都市の記述》とその表現」
http://10plus1.jp/monthly/2018/10/issue-03.php

まさかの建築方面からお声がかかって、お題の「都市の記述」についてできるだけ虚勢を張ることなく率直なところを書きました。個人的にはより広い「世界の記述」に取り組んでいる最中であり、急な話でもあったので新しい調査はできませんでしたが、いつか書かれるべき「都市編」の序論として、問題意識の地図化ができたのではないかと思います。尚『10+1』は50号で終了後、Web雑誌として続いているとのことで、今回は第3号の「ノーテーション・カルトグラフィー」特集の回顧と更新が主旨という話でした。