日記 年末年始

12/21
l-eにてエレクトロニクス講座発表会。何の分節もない曲をやりたいという妄想から白いカードだけのトランプをやりたいと思い立ち、そこから色々と転々として、白と黒のカード、および論理カードを作ることになった。うまく説明できなかったが、出目次第で推論っぽくなるときもあればならないときもある、ということを許容するのがミソなんだろうな、と思う。作っているプロセスが一番エキサイティングなんだがそれが伝わらないのも問題だった。反省はさておき、久しぶりに制作が楽しかった。

12/24
引っ越しにつき、東京から運び出しの作業。初めて体験するプロ業者の引っ越しは怒涛の勢いで、家主は居場所なく家の片隅で細々と片付けをする。梱包が間に合っておらず迷惑をかけ恐縮。終電で実家に帰るが、運び込む予定の部屋に元から置かれている物の多さに愕然とする。こんなスペースに入るわけない。

12/25
昼に業者が到着し、搬入が始まる。私は突っ立って指示を出すのみ。家具の組み立てまでやってくれて、これであの値段は安い。1、2万をケチって自分たちだけでやるより断然良い。しかし部屋がテトリスならゲームオーバー寸前の状態になり、一個一個梱包を開けて本を本棚に突っ込んで行かないと奥の冷蔵庫や食器棚に辿り着かない。先は遠し。

12/26
転入の手続きをしに最寄りの区役所へ。小さい頃から変わっていない古いビルで、東京にいた時の役所と比べると少し唖然とする。転居受付を済ませた後、年金、国保、住民票発行とたらい回しにされる。これ、一発申請でできないんでっしゃろか。その後向かいの警察署に行くと、これまた「はぐれ刑事純情派」ばりの古くてこじんまりとしたいかにもな建物。今にもぼんちおさむと岡本麗が歩いてきそうだ。
夜、親が見てた日本のテレビドラマが異常に酷かった(沢尻が出てるアパレル業界のやつ)ので、勢いでHuluの二週間無料会員になり、フィンチャーが製作総指揮・監督で関わってるアメリカのテレビドラマ『ハウス・オブ・カード』を見始める。フィンチャー作品っていつも高度に知的で戦略的な人物が出てきてその手際の良さと冷徹さに引き込まれていたら、「えっ、そんなことで?」といういとも簡単なことでボロを出してしまう。その瞬間に白けてしまうことが多いが、今回もその例に漏れず。いやまあ楽しんで見ているのだけれど。

12/27
部屋の片付けを進めた後、家から徒歩15分のところにある小屋にてホン・サンス『自由が丘で』を見る。面白いが、これで満足してはいけないような気がする。

12/28
入稿データを送り、仕事納め。その後栄に行って、Apple TVを買うか迷うがやめる。

12/29
夕方まで子守業務をし、その後栄に行って、Apple TVを買うか迷うがやめる。

12/30
夕方まで子守業務をし、その後栄に行って、Apple TVを買うか迷うがやめる。いい加減頭が腐りそうだ。夜半、はっぴいえんどの「風街」ドキュメンタリーを見る。

12/31
一日中、子守業務。三重より祖母・叔父来る。今年は蕎麦屋で全く働かなかったので年末感無し。エンドレスでアンパンマンとムーミンを見ているうちに年が暮れた。

1/1
昼ごろ起き出し、録画されていた「紅白」を親と一緒にほとんど通しで見てしまった。紅白が人気がなくなったのって、単純にNHKの演出が白けるからじゃなかろうか。その後ダイエットがてらどこもやっていない栄まで徒歩で往復する。夜半、年末に父親が買っていた(!)『はっぴいえんど・マスターピース』を聞く。「ゆでめん」と「風街」のCDとLPのセットだが、LPはプレイヤーが壊れていたらしく、断念。それでもCDは痺れる音だった。

1/2
朝から近鉄に乗り三重の祖母宅へ。駅伝見ながらすき焼きするいつものコース。

1/3
旧友と名古屋競馬へ。今年がラストラン(我々が)なのだが、珍しく勝った。夕方から風邪気味で早めに寝る。

愛するムシェットどこへ行く

渡仏に向けて本格的に金が無く、DVDを売ったら結構な金になるらしいので、ボックスで買ったまま未見だった作品を見ている。

ブレッソン『バルタザールどこへ行く au hasard Balthazar』
つながるかつながらないかギリギリのところを攻めていて刺激的。ロバとライオン、ロバとゾウの切り返しに思わず微笑まざるを得ない。子供の腕が映るだけでエロくなるブレッソン。

ブレッソン『少女ムシェット Mouchette』
3度斜面を転がるところを律儀に3度同じカット割りで撮るところが素晴らしい。レイプされたから死んだ、という単純さに帰結させない良心。

サーク『愛する時と死する時 A Time to Love and a Time to Die』
超大作!映画史にダグラス・サークを持つことの幸福。

「プログラミング言語をつくろう その1」

1月18日(日)
プログラミング講座 pro·gram 0x17
「プログラミング言語をつくろう その1」

@大崎l-e
18:00-21:00
ドリンク代のみ
(終了後、新年会を予定していますが、初めての方もお気軽にお越しください)

発表会を終えてひと段落ついたところで、新しいシリーズをはじめます。
簡単なプログラミング言語をつくりながら、言語を作るっていったいなんなのか、言語を使って作品やパフォーマンスを行うことって一体何なのか、一緒に考えてみたいと思います。とはいえ、実利的な言語を作ったり、難しいことをやるつもりは全くありません。お気軽にお越しください。

対象: プログラミングを全くやったことのない方。これからプログラムを使って何かやってみようと思ってる方。ちょっとやってみたけど「わかんないし!」と諦めてしまった人。話だけ聞いてみようという方。

コンピューターは不要ですが、ノートパソコンをお持ちの方はご持参いただくと理解が進みます(その場合は予めProcessingをインストールしておいてください http://processing.org/download/)。

※講師の私用のため、2015年4月から2016年3月まで、この講座はお休みになります。

講師: 大田暁雄
1981年生。美術大学在学時にプログラミングを使った作品を制作し始める。2012年より大崎l-eにてプログラミング講座「pro·gram」を開催。

講座ホームページ
http://esporre.net/program/

つぶやき

クリストファー・ドイルはウォン・カーウァイの撮影監督で、
クリストファー・ロビンはプーさんのガキで、
クリストファー・ロイドはドク。

名前の話。

カート・ラッセルは『遊星からの物体X』で、
クリス・クリストファーソンは『天国の門』で、
ニック・ノルティは『クリーン』の人。

顔の話。

『ゴーン・ガール』

デヴィッド・フィンチャーを憎めない程度には私は商業的な人間のようで、いかに『ベンジャミン・バトン』や『ドラゴン・タトゥーの女』がスッカスカで失笑しそうになっても、サスペンスになるとそれなりにハラハラしてしまうので嫌いにはなれない。『ゾディアック』は大好きだし、『セブン』もこれ見よがしだがそんなに嫌いじゃない。『ソーシャル・ネットワーク』もまあ、それなりに好きだ(多分ジェシー君が。)。今日たまたま都心に出たら「先行上映」と銘打たれてやっていた『ゴーン・ガール』も何度か「ダサっ」って呟きかけたが(粉砂糖はないだろ、粉砂糖は。あと冒頭のバーでの回想シーンの入り方)、これは『ゾディアック』に次ぐぐらいの快作ではないか。超・不安要素だったロザムンド・パイク(だって『アウトロー』がさ……)が四つん這いで歩き回る姿は中々に感心したし、最近の脇が甘すぎる映画の殺人者たちに対する鬱憤を忘れさせてくれる爽快な手際の良さには目を見張るものがあった。これであとはちゃんと終わり方で唸らせてくれれば良いんだがなあ。音楽とか、猫の使い方とか、惜しい点を挙げればキリがないけど、警察署、殺風景な現代インテリアの家、地下室、監視カメラ、謎かけ、おネエちゃんなどフィンチャー要素三昧で2時間半楽しめた。

最近見たもの:
・大森立嗣『まほろ駅前狂騒曲』
・サーク『自由の旗風』(DVD)
・サーク『悲しみは空の彼方に』(DVD)
・ルビッチ『生きるべきか死ぬべきか』(DVD)
・ファスビンダー『悪魔のやから』(DVD)