生活は素晴らしい

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グラフィック・デザインのことなんか「愛している」なんて決して言えないのだけれど、どこまで言っても最終的にはグラフィックの人間だという立場を自覚するしかないし、それを武器にしなければ食ってはいけず、手が勝手に動く方ではないので、「これだけは必要だ」というものをなんとか捻りだして今に至っている。都市リサーチというのは、数理分析の出来る理系でも空間に直接手を下せる建築家・都市計画家でもないいちグラフィックデザイナーにとって結構絶望的な状況で、「単なるヴィジュアライザー」に甘んじるのでない限りは、What can I do?状態で.....と書きかけたけど、なんか自分の範疇を限定している気がしてやめた。もっと勉強すればいいじゃん。

先週見たもの:
チミノ「サンダーボルト」
チミノ「シシリアン」
ファスビンダー「哀れなボルヴィーザー」
同期の展示@G8
橋口「ぐるりのこと。」

「シシリアン」の大して重要な意味があるとは思えないが過剰に執拗なバーバラ・スコヴァの出演シーンに、「ディア・ハンター」の結婚式や「天国の門」の円舞に通じるチミノ的逸脱を見た。

「ぐるりのこと。」は、「サッド・ヴァケイション」の光石×齋藤のアドリブ的でフランクな生活的会話が、作品全体を通じて行われるような生活映画であり、ここでも弁護士だか検察官だかの役の光石研が、チョイ役ながら最高に弱々しい台詞回しをしておられ、幼児バラバラ殺人の裁判シーンというシリアスな場面ながら、一人で含み笑いを押し殺した。絵に描いたようなゆるーいプレカリアート軽メタボ中年を地で行くリリーと、流産を重ね夫とのコミュニケーション不協和の中で次第に思い詰めていく木村多江。もはや神の領域に達した柄本明と、スレた元ホステス役の安藤玉恵、どうしてもうちの弟とダブる新井浩文と、グッドキャスティングのオンパレード。完璧に感情移入してしまい、「もう許して」と心の中で叫ぶ。ガラにもなく「家族っていいなあ」と呟き、(一見)生活と剥離された自らの研究を思い直す始末。おかげで半日は茫然自失。

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